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睡眠が劇的に改善! 「40℃に15分間」「マインドフルネス入浴法」で人生が変わる理由

集英社オンライン / 2022年11月26日 10時1分

11月26日にはいい風呂の日。「よく眠れない」「疲れがとれにくい」「イライラする」そんな悩みを抱えている人は、間違ったお風呂の入り方しているかも。眠りとお風呂の専門家、公認心理師の小林麻利子氏にぐっすり眠れるお風呂の入り方についてうかがった。

入浴前にお風呂の効果を上げる準備をする

毎日、何気なく入っているお風呂。
湯船に浸からずシャワーのみですませる、換気扇をつけたまま入浴している、熱いお湯に浸かっている、長めに半身浴、などしていませんか?
実はこの習慣だとスムーズに睡眠に入れない可能性があります。

良質な睡眠をとるためには、自律神経のバランスがポイントになります。
自律神経は、活動しているときに活発になる交感神経と体をリラックスさせる副交感神経があり、その2つがバランスを取って体のさまざまな機能を調整しています。


体を休めるためには副交感神経を優位にすることで、スムーズに眠りにつくことができます。
寝る前の入浴は良質な睡眠のためにおすすめですが、入浴の仕方に気をつけないと、副交感神経より交感神経が優位になり、寝つきが悪くなってしまうことも。

ぐっすり眠るためにも、副交感神経が優位になるお風呂の入り方をすることが大切です。
そこでまず、見直していただきたいのが、お風呂に入る前の準備。

お風呂の効果を上げるためにも事前準備がポイントになります。

・換気扇は完全に消す(※家の構造の状態を除き)
・お風呂をためるときはフタをする
・お湯の温度は確実に40℃にする
・脱衣所を20℃以上に保つ
・脱水症状予防のため、脱衣所に水を用意する

これからの季節、入浴前後の急激な温度の変化によって血圧が急激に上下し、心臓や血管の疾患が起きるヒートショックのリスクが高まります。
高齢者は特に注意が必要ですが、高齢者でなくても脱衣所や他の部屋と浴室の気温差にストレスを感じ、お風呂に入るのがおっくうに感じることも。

浴室に入ったときの「寒っ!」を防ぐためにも、浴室、脱衣所、リビング、寝室などの温度を一定に保つようにしましょう。こうした体への負担を軽減することで、短時間でリラックスできるようにもなります。
特に脱衣所は家の構造によっては寒い場合があるので、暖房器具を活用してなるべく20℃くらいに保つようにしてみてください。

入浴タイムを冬なら就寝時間の30分~1時間前を目安に

浴室の温度にも気を配りましょう。
換気扇の風やすきま風は浴室やお風呂の水温を下げ、せっかく温まった体の熱を奪われて冷えてしまいます。夏以外は換気扇をOFFしましょう。
また、服を脱いでいる間にしばらくシャワーを出して、ミストサウナ状態にしておくと、気持ちよく浴室に入ることができるのでおすすめです。

お風呂のお湯のため方も温度を保つことがポイントになります。
冷めにくくするためにもお風呂のフタをしてお湯をためるようにしましょう。
給湯器の温度を40℃に設定していても、時間とともにキープできていないことがあるので水温計で測って、確認するように。
家の構造によっては、冬は5分ほどで水温が簡単に下がることがあるので、その傾向を知るためにも、水温計の用意はあったほうがいいでしょう。

また、入浴タイムを冬なら就寝時間の30分~1時間前、夏なら1~2時間前にはお風呂から上がることを目安にするにすることで、熟睡につながりやすくなります。
人の体は体の内部の温度=深部体温が下がると眠気が起こりやすくなります。
入浴によって深部体温が一時的に上昇し、入浴後に放熱することで、深部体温がしっかりと下がって平熱へ戻り、その後通常の深部体温低下の傾斜よりもぐっと大きく、急降下させます。この高低差を大きくすることが快眠には不可欠です。

起床時間から逆算してお風呂タイムを決めるのもおすすめです。
例えば、7時に起床で、睡眠時間を7時間とするなら午前0時が就寝時刻なので、就寝時間の約1時間前の23時を入浴終了時刻に設定するなどすると、生活習慣が整いますよ。

40℃のお湯に15分浸かって深部温度を上げる

ぐっすり眠るための入浴方法で、お風呂の時間や温度と同じくらい重要なのが順番です。
すぐにお湯に浸かってしまうと、血圧が急上昇して交感神経が優位になり、睡眠の妨げになる可能性があるため、必ずかけ湯をして体を慣らすようにしましょう。

このかけ湯というのは体だけではなく、頭まで洗うことを指します。
ゆっくりお湯に浸かってから髪を洗う人が多いですが、先に頭を洗うことで全身の血流がよくなり、お湯に浸かった後の血圧の急上昇を防ぎ、温熱作用も高まります。
また、髪の毛の長い方は特に洗髪中は時間がかかってしまうので、体が冷えてしまい、入浴後、すでに寒さを感じてしまう場合も。

前述の通り、入浴前にシャワーを出して浴室全体をミストサウナに状態にしておけば、お湯に浸からなくても温かいので、髪を洗い、吸水性のタオルを巻いて湯船に十分浸かってから、軽く体を洗ってあがりましょう。
先にちゃぷんと浸かりたい場合は、5分程度にとどめ、洗髪をしてから、浸かるようにしましょう。

●おすすめのお風呂の順番

かけ湯をする

お風呂に浸かりたい人はデリケートゾーンなど軽く洗ってから軽く浸かる

髪を洗う(洗髪後、吸水性タオルで髪を巻いておく)

40℃のお湯に15分浸かる

皮脂の多い部分のみ体を洗う

タオルを浴室に持ち込み、体をふく

保温も浴室でする

脱衣所で下着、パジャマに着替える

手早く髪を乾かす

湯船の中ではリラックスを

40℃のお湯に15分全身浴をすることで、深部温度が約0.5℃アップすることが研究でわかっていますが、入浴後、その反動で深部温度がしっかり低下するため、寝つきもよくなるはずです。

眠りの質を上げたい、疲れを感じている場合は、天然精油100%のバスミルクがおすすめです。香りを感じながらお風呂にゆったりと浸かることで、リラックス効果も期待できます。体を温めたいときは濃度の高い、炭酸ガス系(重炭酸イオンと表記されているものは特に有効)の入浴剤がおすすめ。
溶け切らないと効果を発揮しないのでしっかり溶かし切ってから湯船に浸かるのがポイントです。
肌当たりをよくするためにも、なんらかの入浴剤を入れたほうがよいでしょう。

リラックスしてお風呂に入るためにも、なるべく照明を落とした状態にして視覚の刺激を抑えるようにするのがおすすめ。
浴室の電気を消して、脱衣所の電気だけに点けたり、お風呂用のライトやプラネタリウムなどを利用したりしましょう。

湯船に浸かっている間は、自分が好きなことをして過ごしてOK。
おすすめは、5分間はマッサージや歯みがきなどケアをして、残りの10分間は自分の心と向き合う時間に充てることです。

私は、お風呂の中で、「今、ここ」の自分自身と向き合うことを、小林流『マインドフルネス入浴法』を提唱しています。

やり方はとっても簡単。
頭をお風呂の淵にべったりとあずけて、全身を脱力させ、自然な呼吸を繰り返しましょう。
このとき鼻から空気を吸うと、横隔膜が下がって空気がたっぷり入っていくので、風船のようにぷくっと体がお湯に浮いていきます。
また口から長く吐くことで、空気が抜けていき、お風呂の底へ体が沈んでいきます。
まずは、体が浮くか沈むかを意識した呼吸を繰り返していきましょう。

何か仕事や人間関係のことなどが頭によぎったとしても、否定することなく、思い浮かべるだけにして、また、体が浮くか沈むかを意識した呼吸に戻ります。
秒数をカウントしたほうが呼吸に集中できる場合は、4秒息を吸って、7秒止めて、8秒吐くのもいいでしょう。
心や体がどんどん穏やかになっていく様子を感じてください。

15分浸かったら、手早くシャワーで、皮脂の多い部分を中心に体を洗いましょう。
体を拭くのは湿度の高い浴室内で、保湿剤でケアしてから浴室を出るようにしてください。

浴室を出たら、冷気によって足の血管が収縮しないように靴下をはいてから、下着をつけるように。その後、用意しておいた飲み物でゆっくりと水分補給を。顔のスキンケアも同時に行いましょう。

パジャマに着替えたら、あまり時間をおかず、髪の毛を乾かし寝室に。
眠くなってから寝室に入る、という考えもありますが、寝室に入るから眠くなる、という睡眠のきっかけにもなります。寝室の照明はつけずに、間接照明などで光の刺激は極力小さくするようにしましょう。

風邪気味のとき、時間がないときの入浴方法

風邪ぎみのときはお風呂に入るのはよくないと昔は言われていましたが、お風呂に入る気力・体力があるのなら入浴しても問題ありません。
お湯に浸かったり、温熱を当てたりといった熱ストレスを与えることで、ヒートショックプロテイン(HSP)というたんぱく質が増えることがわかっています。
ヒートショックプロテインとは、傷んだ細胞を修復する働きを持ち、免疫細胞の働きを活性化します。
入浴によってヒートショックプロテインを増やすことになるので、風邪ぎみのときにお風呂に入ることで、免疫力を高めることができるのです。

ただし、入浴の際に注意が必要です。洗髪はせず40℃のお湯に20分浸かり、入浴後は10分ほどで体温が下がらないように、靴下やバスローズなどを活用して保温をしましょう。
入浴後は汗がひいたら、早めに就寝を。
また、高熱で動けない、医師から入浴を止められている場合は無理に入らないようにして。

帰宅が遅くて湯船に浸かる時間がない、忙しくて湯船に浸かる時間がもったいないと思っている人は、洗髪をしながら足湯をするのがおすすめです。
体の末端である足をお湯で温めるだけで、血流がよくなり、冷えやむくみの解消につながります。ただし冬は寒さにより血管が収縮しやすくなるのでお風呂上り後、素早く身支度して休むようにしてください。

また、夜はお湯に浸かって、朝に洗髪するなど、分浴するもおすすめです。
疲れやストレスを感じている場合は、睡眠によって体や脳をリカバリーさせたいはず。
ならば、お風呂のお湯にゆったり浸かって副交感神経を優位にするほうが、眠りの質は格段に上がるため、夜はお風呂に浸かったほうがいいのです。

お風呂タイムは、一人きりで裸の自分と向き合える最高の時間です。
ただ、体を洗うだけだなんて、もったいない!
ゆっくりと湯船に浸かって、心の疲れをリセットしましょう!


取材/百田なつき

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