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親権喪失の申立で多いのは児童相談所でもなく子供自身でもなく◯◯だった!

相談LINE / 2016年7月12日 20時0分

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今年の3月、乳児の予防接種を拒否したという母親に対して、九州地方の家庭裁判所が「親権喪失」の決定を下していたことが先月の7日にわかった。親権停止ではなく親権喪失になった理由。それは昨年、乳児を自宅玄関前に放置(育児放棄)していたことから端を発する。
これを受けて児童相談所は、乳児を保護し、里親委託をしようとした。しかし、法定となっている予防接種を受けていなかったため、委託に出すことが出来なかった。ところが、予防接種を受けさせるためには親の同意が必要だった。そこで児童相談所は何度も予防接種を受けさせるように求めたという。しかし結局母親が同意することはなかった。そんな経緯が親権喪失という決定につながったようである。さて今回は、この親権喪失について取り上げる。親権喪失となると、具体的にどんな状態になるのか。また親権喪失はそもそも誰が申し立てることが多いのか。木川雅博弁護士に伺った。

■身上監護権と財産管理権をなくす親権喪失

「親権の喪失とは、その名のとおり包括的に親権を失わせるものでして、お子さんの身上監護権と財産管理権の両方を失わせることになります」(木川雅博弁護士)

子どもを持つ親には、等しく親権という法律上認められた権利や義務が与えられるが、その代表が身上監護権と財産管理権である。

身上監護権とは、子どもの監護と教育をするという権利と義務である。財産管理権とは子どもの財産を管理することをいう。

つまり親権喪失とは、親が親であることを認められた法律上の権利を喪失してしまうのだ。

■改善が認められないかぎり永久に回復することはない親権喪失

では親権喪失にあたって、具体的な期間は定められているのだろうか。

「親権喪失の期間には制限がありませんので、一度親権喪失の審判が下った場合は、喪失の原因となる親権者の行為が止んだと認められない限り親権を失うことになります」(木川雅博弁護士)

冒頭の例でいくと、育児放棄が元々の原因となっているため、親にその辺りの改善が認められないかぎりは永遠に喪失のままということだろう。

ちなみに現在は、最大2年間と期間を定めた親権停止という制度が2012年から始まっている。
この制度ができた背景には、一度喪失となると、親権の回復が難しいという実情が考慮されている。また親権喪失が持つ効果が強過ぎることと、仮に親権が回復されたとしても、親子関係の修復が非常に困難であることも関係している。

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