日本メディアが伝えた「韓国で大谷フィーバー」は本当か? ソウルの街で覚えた違和感
日刊SPA! / 2024年3月25日 15時52分
サッカー韓国代表の試合とMLBの開幕シリーズ、両方を同時に映すスポーツバーの店内。ソウル随一の繁華街、梨泰院(イテウォン)にて
「そうだ、ソウル行こう」
メジャーリーグ(MLB)史上初となる韓国での公式戦開催となった、ロサンゼルス・ドジャース対サンディエゴ・パドレスの開幕戦「ソウル・シリーズ」。そのチケットが売り出される直前の2024年1月下旬、僕は渡韓を思い立った。
この頃、僕は『大谷翔平の社会学』と題した本の原稿を書いていて(2024年5月1日に扶桑社新書より発売予定)、その執筆作業が大詰めに差し掛かっていた。大谷翔平という「社会現象」を通して現代社会を考える、というコンセプトで一冊の本を書こうとしていた僕にとって、執筆の仕上げに「大谷が上陸したソウルの街を取材する」というのは重要なミッションであるように思えた。
取材といっても、野球記者として球場に出入りして、大谷本人や関係者に話を聞くわけではない。球場にはどうせ日本のメディアが大挙して押し寄せるし、彼ら彼女らと同じことをしても意味がない。僕が取材したかったのはソウルの街であり、市井の人々だ。
日本にとって最も身近な外国であり、スポーツの世界では日本の「宿敵」にもなる韓国において、大谷翔平という日本のスーパースターはどのように受容されているのか?
開幕戦が行われる数日前から、日本のメディア各社は「韓国でも大谷は大人気!」「韓国で大谷フィーバー!」などと報じていた。僕はそれを見て「いやいや、大袈裟な」「盛ってるでしょ」と思っていた。
たしかに大谷は国際的なスター選手だが、韓国にも今回のソウル・シリーズに出場したキム・ハソン(パドレス)など優れた選手がいる。野球のWBCやサッカーのワールドカップなど、スポーツの国際試合で韓国人は自国の代表チームに熱狂し、当然ながら自国の選手たちを応援する。
日本では大谷をはじめとする日本人選手が圧倒的な人気を誇るように、韓国では韓国人選手こそが人気なのでは? 「韓国で大谷フィーバー!」というニュースの見出しは、今や大谷の「チアリーダー」同然の日本メディアがちょっと騒ぎ過ぎているのでは?
そんな仮説を持って、開幕戦が行われた当日の3月20日、僕はソウルへと向かった。
◆大谷ユニフォーム転売ヤー?
ソウルへと向かうその前に……
成田国際空港で韓国の航空会社、エア・プレミアのチェックインカウンターに並んでいるとき、若い女性同士の話し声が聞こえてきた。
「大谷のユニフォーム、絶対高く売れるっしょ」
「プレミア値つくよね、絶対」
「あ、この前買った〇〇(ブランド名)のバッグは〇〇万円で売れたよ」
「マジ!韓国3回行けるじゃん、ヤバ!」
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