日本メディアが伝えた「韓国で大谷フィーバー」は本当か? ソウルの街で覚えた違和感
日刊SPA! / 2024年3月25日 15時52分
もちろん調査サンプルが「女子大生1人」では一般論に落とし込むことはできないが、その後に僕がソウルの街中で出会った人やタクシーの運転手、ホテルのスタッフなどに話を聞いても、真っ先に出てくる名前は「オータニ」だった。
僕が日本人だから、というのもあるだろうが、それを差し引いてもソウルにおける大谷の知名度、そして人気の高さが感じられた。日本メディアの「韓国でも大谷は大人気!」はあながち間違っていなかったようだ。
◆大谷の試合よりもサッカー代表戦
一方で、日本のメディアが好んで使っていた「韓国で大谷フィーバー!」というフレーズには違和感を覚えた。
たしかに開幕戦の翌日は大谷の写真が現地新聞の一面を飾ったり、地下鉄車内のモニターでも今回の開幕シリーズが主要ニュースとして流れていたが、ソウルの街中で「大谷フィーバー」というような熱気は全く感じなかった。
日本のメディアは開幕戦の数日前から、まるで韓国が「大谷一色」であるかのように報じていたが、全くそんなことはなかった。唯一「大谷フィーバー」を感じたのは試合前の球場周辺で、日本のメディアが大谷のモノマネ芸人や大谷のユニフォームを着たファンを取材している姿を見たときだった。
つまり日本のメディアが伝える「韓国で大谷フィーバー!」は、正確には「韓国で(日本メディアが勝手に)大谷フィーバー!」だったのだ。少なくとも、僕の目にはそのように映った。
たしかに大谷は韓国でも有名だが、そもそも野球に興味がない人はたくさんいるし、今シリーズの第2戦が行われた21日の夜には、サッカーの韓国代表対タイ代表の試合もソウルで開催された。
当日夜、ソウル中心部の地下鉄駅構内は、サッカーのスタジアムへ向かう電車を待つ人でごった返していた。ドジャースの山本由伸がデビュー戦で1回5失点KOされた頃、サッカー韓国代表は2026年のワールドカップ出場に向けた重要な試合に臨むところで、僕が訪れたスポーツバーではサッカーの試合の方が大きく映し出されていた。
ソウルで話を聞いた人々に僕は「韓国では今、野球とサッカーどっちが人気?」と尋ねたが、全員が「サッカーだと思う」と答えた。そして、そもそもスポーツ観戦に興味がない、という人も多かった。日本メディアが言う通り「韓国で大谷フィーバー!」がたとえあったとしても、それは一部のファンによる極めて局所的な盛り上がりだったはずだ。
◆「韓国で大谷を知らない人はいない」
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