世界有数の“熊被害大国”日本が抱える特殊な事情。駆除せず山に返した熊は「すぐに人里に戻ってくる」
日刊SPA! / 2024年4月16日 8時52分
画像はイメージです
2023年の春から秋にかけ、熊被害が増大したことが大きな話題となってきた。それも住宅地に出没し、人間を恐れない「アーバン熊」と呼ばれるタイプの熊が原因だった。
熊についてあれこれと調査すればするほど、冗談抜きで「現在の日本の状況はきわめて危険ではないのか」という結論が出てくる。
まず驚いたのが、アジア全域に広く生息するツキノワグマだが、日本以外の全生息数よりも日本の本州における生息数のほうが多いのだ。これは北海道のヒグマにも当てはまり、ユーラシア大陸から北米大陸に広がるヒグマの生息地のなかで、最もヒグマの生息密度が高いのが北海道なのだ。
どちらも日本以外では絶滅の危機のおそれのあるレッドリストに登録され、人間の保護対象となっている。それが1億2000万人の暮らす日本では、なぜか頭数が増えすぎてしまい、熊が“人口爆発”を起こしているのだ。
(本記事は『アーバン熊の脅威』(宝島社)より、抜粋したものです)
◆北米や中国と大きく異なる日本の現状
なぜ日本は、世界でも類を見ない“熊被害大国”となったのか。現在日本には、北海道にヒグマが推計で1万1700頭、本州と四国には4万4000頭前後のツキノワグマが生息するとされ、全国トータルで最大5万6000頭程度が生息すると考えられている。
北米大陸の熊の生息数は100万頭近いともいわれ、それと比べれば日本が特別に多いわけではない。だが北米では、人間の居住域の広がりとともに森林はどんどん切り拓かれ、それに伴い熊は駆除される。そのため熊の生息域は限定され、人間と熊の接触する機会はきわめて少ない。
中国でも北米と同様の理由で熊の駆除は進められている。同時に、熊の掌は高級食材として、胆囊は漢方薬(熊胆)として珍重されているため、民間人の狩猟対象となり、生息数は減少の一途をたどっている。
◆熊を神聖視する文化・風習が残っている
日本の場合は国土そのものが狭く、地勢的に人間の居住区と熊の生息域が隣接している。「熊」という言葉が「カミ」の語源だとする説があるように、熊を神聖視する文化・風習が残っており、人間に害を及ぼさないかぎり、無闇に熊を駆除することはしない歴史がある。
そんな日本において、明治初期からの北海道開拓期には、新しい土地を求めて人間のほうから熊の生息域に踏み込んでいった。そのことで、日本人は多大な人的被害を熊から受けることになってしまった。
◆北海道は他国を大きく上回る「熊密集地帯」
この記事に関連するニュース
-
クマが冬眠から目覚める季節 “エサ不足”と“子グマ”で増す危険性 登山シーズンを迎える中で注意が必要 《新潟》
TeNYテレビ新潟 / 2024年5月7日 20時2分
-
道内のヒグマ駆除数 過去最多1422頭 2023年度
テレビ北海道 / 2024年5月2日 17時16分
-
「車内でも助かる保証ない」軽トラがヒグマに襲われる衝撃動画! 危険な“春の子連れ熊”
週刊女性PRIME / 2024年4月30日 7時30分
-
札幌市が来年度から市街地近くの一部エリアに箱わななどを設置する方針を決定 ドローンを使い調査も
HTB北海道ニュース / 2024年4月17日 18時9分
ランキング
-
1ヘンリー王子とメーガン妃がナイジェリア滞在中に〝王室ルール〟違反=英紙報道
東スポWEB / 2024年5月15日 18時39分
-
2レーガン出港「二度と来るな」 横須賀の市民団体、海上で「母港化」抗議
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年5月16日 21時38分
-
3職員死亡、神戸市賠償命令 教諭いじめ問題対応で長時間労働
共同通信 / 2024年5月16日 20時18分
-
4プーチン政権に激震!国防相はなぜ解任されたのか 12年間の盟友をクビにしたプーチンの本音は
東洋経済オンライン / 2024年5月17日 8時0分
-
5ステーキ「三田屋本店」社長が従業員に暴行疑いで逮捕 「言い分と態度が気に食わなかった」
産経ニュース / 2024年5月16日 19時37分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください