「横浜BUNTAI」にリニューアル! プロレス評論家・門馬忠雄氏が振り返る横浜文化体育館の〝伝説〟
東スポWEB / 2024年4月24日 11時12分
プロレス伝説の舞台となってきた神奈川・横浜文化体育館が、多目的アリーナ「横浜BUNTAI」としてリニューアルオープンした。27日には「スターダム」が、プロレスこけら落としで大会を初開催する。そこで横浜在住40年で、〝炎の飛龍〟藤波辰爾(70)とのトークショー「甦るBUNTAI!ハマのプロレス聖地・横浜文体ストーリー」(5月11日、東京・豊島区の闘道館)を控えるプロレス評論家の門馬忠雄氏(85)に、〝横浜文体〟最高の伝説を振り返ってもらった。
――横浜文体の価値
門馬氏(以下、門馬)1962年5月の開館から、横浜の文化とスポーツの発信地となってきた。全日本プロレスの「チャンピオン・カーニバル」、国際プロレス、パンクラス、大日本プロレスと多くの団体が使ってきた。横浜出身の選手も(アントニオ)猪木、ヒロ・マツダ、鈴木みのるにレフェリーのジョー樋口さんと、何人いるかわからない(他に山本小鉄、高田延彦、神取忍、辻陽太、なつぽいなど)。レスリングの〝聖地〟でもあるし、(プロレスが発展する)土壌がある。私も文体で鍛えられてきた記者だから、こだわりがあるね。
――プロレスで最も思い出深い試合は、やはり新日本プロレスでの猪木vs藤波のIWGPヘビー級王座戦
門馬 1988年8月8日の午後8時開始。これは歴史的な試合だった。必ず藤波のベストバウトに入ってくる試合だよね。ただ取材していた私にとっては…。古い体育館で満足に冷房が効いてなくて、メガネは曇るし、パンツまでびしょぬれになったなあ。テレビライトでリング上は普通の状態でなかったと思う。
――結果は60分フルタイムドロー。藤波にとってはプロレス人生の分岐点になった
門馬 この年の4月、沖縄で髪を切って猪木に世代交代を直訴したんだ。その前(85年12月)に(IWGPタッグリーグ優勝戦で)藤波は猪木にドラゴンスープレックスでフォール勝ち。タッグで猪木を超えた後、そこからのつながりで一騎打ちまでこぎつけた。この試合で「猪木の次は藤波だな」と、猪木の後継者としてファンに印象づけたんだ。藤波にとっての分岐点で、大きくステップアップしたね。
――真夏の文体で、1時間戦い切った過酷な試合の評価は
門馬 藤波(当時34歳)と猪木(同45歳)で年齢差がある中で、当時コンディション不良とされた猪木のスタミナ、体力と気力は普通ではなかった。すごかったよね。猪木にとっても、プラスになった試合。まだまだやれるという。2人は同じような技を使うし、技術うんぬんより、互いの持てるものを出し尽くした試合だった。来たファンは「いいものを見た」と思っただろうし、不満があったファンは誰一人いなかったと思う。「横浜文体ストーリー」で、藤波の世代交代が完結したんだ。
――藤波への思い入れも強い
門馬 彼が16歳で(プロレス入りのため)家出同然に(大分の)家を出てきた列車に、ちょうど私も乗っていたから。そこからの付き合いだから、何から何まで知っているよ。ひょろひょろのイガグリ坊主頭がレスラーになって、(新日本プロレスの)社長にまでなったのは今でも信じられないよ(笑い)。彼は性格が素直で、ウソをつかない。いい意味での〝プロレスバカ〟なんだ。プロレス一筋で、他のスポーツが見えない(笑い)。
――新たな「BUNTAI」に期待することは
門馬 みなと横浜ではいろんなイベントがある中で、新しい息吹を感じる。観客収容は5000人くらいで、キャパシティーも手ごろだし、足の便もいい。横浜のスポーツの発信地になってほしいね。
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