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金(ゴールド)を手元に置くもう一つの意味。その運用、誰のためですか?

トウシル / 2021年8月17日 5時0分

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金(ゴールド)を手元に置くもう一つの意味。その運用、誰のためですか?

金(ゴールド)を手元に置くことは、権力・財力、安心感をもたらす品を手元に置くこと

 金(ゴールド)は、数千年間、人類とともに存在してきました。古代エジプトや日本の古墳時代には、その魅惑の輝きを放つ物質は権力の象徴でした。また、物々交換の時代が終焉(しゅうえん)する方向に進み始めたのは、人類が金(ゴールド)にお金の機能をあたえたことがきっかけでした。

 そんな歴史を持つ金(ゴールド)ですが、はじめて1キロバーの金(スマートフォンくらいの大きさ)を手のひらに乗せた現代人が真っ先に口にするのは、「見た目以上に重い」「えー!?こんなに重いの?」などの重さに関する感想です。

 これは、1キロバーを展示した当社のイベントで、筆者が実際に何度も耳にしたお客様の声です。その重さに人類の脳は錯覚を起こすのです(筆者もはじめはそうでした)。

(筆者の個人的な感覚ですが)金(ゴールド)を手のひらに置いた時、魅惑の輝きに魅了されながら、権力や財力が増した感覚がふつふつと湧いてきて、同時に安心や安定感が広がり、不思議な感覚につつまれます。

 まるで人の感覚が、金(ゴールド)を手のひらに置くとそうなるように設計されているかのように、です。

 本物の重さと輝きをじかに体験してしまうと、人類は金(ゴールド)の前になすすべがないのかもしれません。人類がこの物質に価値があり、お金だと認めたのもうなずけます。

 また、金(ゴールド)は地球上に五輪プール2.8杯分(2020年時点 筆者推定)しかない、優れた電導性や伸縮性があり電子製品にも使われている、多数の中央銀行が大量に金を保有しているなどの追加の知識が加わると、金の世界への没入感がさらに増します。

 いつの時代も、金(ゴールド)を手元に置きたいというニーズは、一定程度、存在します。金が魅惑的な輝きを放ったり、類まれな特性を持っていたり、得(え)も言われぬ安心感をもたらしてくれたりすることがその動機とみられます。

 このような感覚的上の動機に加え、個人的には、人類のDNAに金(ゴールド)に「じかに」触れた時、虜(とりこ)になるよう、情報が刻み込まれているからだと、考えることすらあります。

 保管の仕方、盗難防止策の講じ方など、考えるべき点はありますが、手元に置くことは、人類にとって意味のある行為であると言えると思います。

 こうした点に加え、もう一つ、金(ゴールド)を手元に置く意味があります。この点を述べる上で、そもそも誰のために資産運用を行っているのか? そして、今後の日本がどうなりそうか? について考える必要があります。

その素晴らしいセカンドライフ。「精神的安定」の優先度はどの程度でしょうか

 昨今、各種報道、インターネット等で、盛んに、現役世代で運用しておくことの重要性が述べられています。その理由のほとんどは、現役世代を終えた後に迎えるセカンドライフを充実したものにするため、です。

「充実したセカンドライフ」「豊かな老後」など、表現の仕方はさまざまですが、第二の人生を不安なく、豊かなものにするためにはお金が必要で、そのお金を現役世代の時に運用をして、年金で足りない部分を作っておきましょう、という話です。

 将来のために運用をすることで税が優遇される仕組み(iDeCo)が、こうした流れを制度的な面から後押しをしています。

 このような流れについて、筆者が日々感じていることは、「その運用は、誰のためか?」ということです。この問いへの答えを、昨今、各種報道、インターネット等で、盛んに語られていることに求めれば、ほとんどが、「自分のため」となるでしょう。果たして、運用は自分だけのためなのでしょうか。

図:その運用、だれのため?

出所:筆者作成

 運用することの最も根本的な意義は、自分の将来を充実させることでしょう。ただし、家族にその運用益を「受け継ぐ」、社会に「還元する」など、家族や社会もまた、運用の動機になり得ます。

 筆者は今後、自分以外を運用の動機とする議論が、盛んになっていくと考えています。特に「家族」については、超高齢化社会にある日本において、贈与の一般化(小口化・低年齢化)が進み、より強く意識されるようになっていくと、感じています。

 このように考えた上で、改めて「充実したセカンドライフ」「豊かな老後」を定義すると、以下のようになると筆者は考えます。

 モノ、お金、機会が満ち足りた「物理的な充足」といった従来の要素に加え、子や孫が安心できる生活を支えていることを実感できる「精神的な安定」もまた、豊かな老後を支える重要な要素と言えると思います。そしてこの「精神的な安定」を支えるのが「家族のための運用」なのです。

図:豊かな老後を支える2つの柱

出所:筆者作成

日本の国力、今後どうなる?米国、中国、その他主要国との比較

 先述の通り、運用の最も根本的な意義は「自分」の将来を充実させることでしょう。その意味では、運用上の自分と家族の両立は、程度の問題だと言えます。

 例えば全運用資金の8割を自分のため、2割を家族のため、といったように、運用する本人が物理的な充足と精神的な安定のバランスをどうとりたいかによって、配分する割合はいかようにも変わるわけです。

 ここからは、子供のための運用が必要である理由について述べていきます。「自分のことは自分で面倒をみるべきだ」「なぜ親が子供のために運用をする必要があるのか?」「日本はこの先も不安が生じない堅牢な先進国なのではないか?」などの考えもあると思います。

 人の親として、筆者もそう思う節もあります。とはいえ、現実的にはそうも言えない状況になりつつあることが、日本が置かれている状況から感じ取れます。

 まずは、国家の経済力の目安とされるGDP(国内総生産:gross domestic product)を確認します。

図:主要国のGDP(名目)

出所:IMF(International Monetary Fund)のデータより筆者作成

 主要国の間で2極化が進んでいることが分かります。米国と中国は勢いを伴って上昇しています。また、IMF(国際通貨基金:International Monetary Fund)は、米国と中国の差が、今後さらに縮まることを予想しています。

 一方で日本は、1990年代前半に米国に肉薄こそしたものの、その後は横ばいで推移しています。現在はドイツとほぼ同じ規模です。米国に追いつけなかった、中国に大きく後れを取った、などが日本のこの30年間の振り返りと言えます。

 以下は、豊かさの目安とされる一人あたりのGDPです。

図:主要国の一人あたりのGDP(名目) 単位:米ドル

出所:IMFのデータより筆者作成

 GDPと同様、日本は1990年代前半に突出した上昇を演じました。しかしその後、横ばいとなり、米国、そしてリーマンショック後の景気回復で先行したドイツ、カナダに追い抜かれました。(英国やフランスにも追い抜かれ、韓国が接近中)

 こうした状況について、ある社会心理学者は、世界における日本の現在の地位について以下のように述べています。(以下、筆者要約)

 日本は人口が比較的多いため※、GDPの規模は大きいものの、成長を続けるアメリカ、急成長期にある中国に比べると、成長の速度は鈍いと言わざるを得ない。一人あたりGDPで見ると、日本は「特別」豊かな国ではなくなってきている。

 経済のほか、科学・技術においても、日本の相対的地位は低下し続けている。もはや日本はアジアにおけるモデルケースではなく、アジア地域において最も重視すべき相手ではなくなってきている。※217位中11位。世界銀行のデータより。

 手厳しい見解です。心情的に認め難い内容を含んでいますが、この中の一部はデータが物語る以上、部分的には認めざるを得ません。これらのデータと見解を踏まえた上で、次より、日本の人口動態に関するデータに注目します。

年金不安の度合いは、われわれの子供の方が大きくなる

 以下の通り、日本の人口はすでに減少期に入っています。国立社会保障・人口問題研究所の予想では、本格的な減少は2030年ごろ以降に始まり、それ以降、生産者人口(15歳から64歳)を中心に、毎年70万人から100万人程度減少するとされています。

 また、今からおよそ80年後の2100年には、6000万人を下回り、現在のほぼ半分になるとされています。

図:日本の人口推移予測

出所:国立社会保障・人口問題研究所のデータをもとに筆者作成

 こうしたことが予想される中、年金制度の「支え」の強さがどう変化するのかを知るべく、高齢者(65歳以上)1人を何人の生産人口で支えているのかについて調べました。

図:高齢者(65歳以上)1人を支える生産人口(15歳から64歳)の数 単位:人

出所:国立社会保障・人口問題研究所のデータをもとに筆者作成

 高齢者1人を支える生産人口は、1970年から2020年にかけて9.8人から2.0人に減少しました。これは単純計算で、生産人口の1人あたりの負担がおよそ5倍になったことを意味します。(高齢者1人あたりを支えるために必要な金額が変わらなかった場合)

 2020年から2070年までの見通しをもとに計算すると、高齢者1人を支える生産人口は2.0人から1.3人に減少し、単純計算で、生産人口の1人あたりの負担がおよそ1.5倍になります。

 負担の全てを生産人口が負担するわけではありませんが、給与から天引きされる社会保障費(健康保険料、厚生年金保険など)の額が、長期的に増える傾向にあることは、多くの日本国民が実感していることだと思います。

 この点に関連する、日本政府の最終支出を見ると、近年、社会保護の分野、その内訳の一つである老齢(年金・介護など)の分野の額が、多くなっていることがわかります。

 上記の通り、年金制度における数の「支え」がさらに弱くなる可能性があるため、政府の支出の額が今後さらに大きくなることが予想されます。

図:日本政府の最終支出(2018年)

出所:内閣府の資料より筆者作成

 今後、生産人口の1人あたりの負担増加と、日本全体の老齢分野の支出増大が同時進行することが予想されます。今よりも5年後、5年後よりも10年後、10年後よりも20年後…年がたてばたつほど、環境は厳しくなるとみられます。

 例えば、2021年時点で中学生・高校生の子供たちが高齢者(65歳以上)になる、2070年頃、先述の図(日本の人口推移予測)のとおり、生産人口を中心に、日本の人口は現在のおよそ3分の2に減少しているとみられます。

 また、図「高齢者(65歳以上)1人を支える生産人口(15歳から64歳)の数」のとおり、高齢者1人を支える生産人口の負担は単純計算で1.5倍に増加する可能性があります。

 こうした世代は、社会福祉関連のコスト高の波が「今にも増して」押し寄せてくるだけでなく、(可能性の域を超えませんが)「炭素税」などの環境問題起因の新しいコストの負担にも耐え忍ばなければならない世代となる可能性もあるわけです。

図:50年後を想像する

出所:筆者作成

 こうした点を考えると、「負担や負担増加による不安の度合いは、自分よりもわが子の方が大きい」→「資金の一部で家族のための運用を」→「子供に何らかの形で運用益を託す」というアイディアが浮上するのは、ごく自然のことだと、筆者は思います。

子供に価値がゼロにならない資産を託す。金(ゴールド)ならばできる

 では、運用益をどのように子供に託せばよいのでしょうか。「贈与」の手段ということですが、長期的に毎年、金100グラムバーを贈与するのが一つのアイデアであると、筆者は考えています。

図:託すもの、託し方の例

出所:筆者作成

 金(ゴールド)には「価値の保全」機能があるため、価値がゼロにならないだけでなく、金(ゴールド)を親から受け取った子が、(不要であれば)また子に渡すこともできます。

 また、不動産と異なり固定資産税がかからない、投資になじみがない人でも実感がわく、魅惑の光を放って輝いているなどの特徴があります。これらは、託す資産に金地金(ゴールドバー)を選ぶ確固たる動機になると思います。

 冒頭で述べたとおり、保管の仕方、盗難防止策の講じ方など、事前に考慮すべき点はあります。運用する対象に万能な商品がないのと同じで、託す資産にも万能なものはないわけです。メリット、デメリットを調べながら、ご検討いただくのが良いと思います。

楽天証券の金・プラチナ取引の特徴。100グラム引き出し時の総コストが最低水準

 2021年8月16日(月)、楽天証券の金・プラチナ取引で、現物の引き出しができるようになりました。

 以下のウェブサイトで、サービス内容の詳細を確認することができます。国内大手ブランド(LBMA認定)の未流通の新品で提供、100グラムバー引出し時の総コストが最安水準など、魅力的なサービスです。

 本レポートで書いた「家族のための運用」を念頭に、ご検討いただくのも一計ではないでしょうか。

 デジタル時代にアナログな…と感じる人もいるかもしれませんが、「金地金(ゴールドバー)の保有」は、「あえてアナログの最先端」、なのかもしれません。

「贈与」の一般化はどんどんと進むでしょう。その意味で、今後ますます「金地金(ゴールドバー)の保有」が選好されるようになると筆者は考えています。

楽天証券の金・プラチナ現物受取(引出し)サービスについて

金・プラチナ現物受取サービス開始記念 送料全額キャッシュバックキャンペーン

 [参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

 楽天証券の純金積立「金・プラチナ取引」はこちらからご参照ください。

純金積立

金(プラチナ、銀もあり)

国内ETF/ETN

1326 SPDRゴールド・シェア
1328 金価格連動型上場投資信託
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
2036 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN
2037 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN

海外ETF

GLDM SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト
IAU iシェアーズ・ゴールド・トラスト
GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF

投資信託

ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
三菱UFJ純金ファンド

外国株

ABX Barrick Gold:バリック・ゴールド
AU AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ
AEM Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ
FNV フランコ・ネバダ
GFI Gold Fields:ゴールド・フィールズ

国内商品先物

金・金ミニ・金スポット・白金・白金ミニ・白金スポット・銀・パラジウム

海外商品先物

金、ミニ金、マイクロ金(銀、ミニ銀もあり)

商品CFD(金・銀)

(吉田 哲)

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