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イオンモールに「商工会議所」が出店した深い理由 東三河ブランド店「豊穣屋」月間売上500万以上

東洋経済オンライン / 2023年12月9日 10時30分

豊川商工会議所はその決定を受けて、共存共栄を表明。今後のまちづくりを調査・研究する「にぎわい創出委員会」を設立した。イオンモールが進出した富山県高岡市や長野県松本市への視察や、事業者に対して影響度調査等を実施した。

「イオンモールと地元事業者による連絡調整会議も設立しました。そこで地元業者への支援策をまとめて提言書を豊川市長に提出しました。提言書にはイオンモールのテナント出店への補助や支援のほか、強い商業者育成の商人(あきんど)塾の設置や、地元事業者の商品開発や販売促進など新規事業への支援なども明記しました」(小野会頭)

イオンモール豊川の建設工事が始まったのは、2021年8月。その翌月に豊川市からモール内にオープンする豊川ブランドショップを豊川商工会議所で運営できないかという打診があり、店舗のコンセプトやデザイン、出店者の募集方法、事業委託者の選定について協議した。それは開店直前の2023年3月まで実に計46回もの打ち合わせを行ったという。

商品の出品形態は、卸売と委託販売、棚貸しの3種類を用意し、卸売は販売価格の60〜70%。委託販売は販売手数料として約20%。棚貸しは月間使用料5500円(冷蔵および冷凍の場合は11000円)+販売手数料20%。いずれも参入しやすい条件を打ち出した。

豊川商工会議所が下した英断

また、「チャレンジショップ」は販売実績額の10%とさらにハードルを低くし、連続して4週間にわたって出店できるようにした。

「チャレンジショップは豊川市長宛に提出した提言書でも触れた商人塾の一環です。セミナーや講演会などの座学とは別に商売というものを実践的に学ぶことのできる場も必要だと考えて、チャレンジショップを開設しました。お客さんの反応がダイレクトに伝わってきますから、これから独立・起業される方にとって大きな学びの場になっています」(小野会頭)

一般的に商工会議所が行う事業に参加するには会員であることが条件になっているケースが多い。ゆえに非会員からすれば閉鎖的な雰囲気を感じてしまうのだ。しかし、「豊穣屋」は会員・非会員を問わず出店が可能。

さらに豊川市内のみならず近隣の蒲郡市や田原市、豊橋市などの事業者にまでエリアを拡大したのだ。週末になるとイオンモールには市外からも多くの人々が訪れるため、東三河のブランドとしてPRしたほうが間違いなくインパクトが大きいのだ。

また、豊川商工会議所には店舗運営の経験もノウハウもないため、田原市や豊橋市、浜松市などで「フードオアシスあつみ」や「ビオ・あつみ」など産地や原料にこだわったスーパーを手がける渥美フーズに委託することにした。人件費と水道光熱費は売り上げで賄わねばならないが、テナント料と管理費は市が負担するという。

「もともと各地の道の駅の運営実績がある別の事業者への委託を調整していましたが、開店の半年前になって辞退されてしまったんです。そんな中で渥美フーズさんが手を挙げてくれました。少しでも負担が減らせるようにセルフレジを導入するなど改善しました」(小野会頭)

「豊穣屋」がオープンして半年経ったが、月ごとの売り上げは500万〜800万円。損益分岐点は400万円というから、好調な滑り出しと言ってもよいだろう。商工会議所が大型商業施設で店舗をするのは全国的にも珍しく、県内外からの視察も多いという。全国各地の大型商業施設に「豊穣屋」のような地元ブランドショップが出店されれば、地域活性化につながるのではないかと思う。

永谷 正樹:フードライター、フォトグラファー

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