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中国検索「百度」、クラウド事業が初の減収の背景 地方政府の需要減速、生成AIで成長復帰を模索

東洋経済オンライン / 2023年12月11日 16時0分

百度は生成AIを応用したサービスを続々と投入している。写真は9月にリリースしたマーケティング支援プラットフォーム「軽舸」のウェブサイト

中国のインターネット検索最大手の百度(バイドゥ)は11月21日、2023年7~9月期の決算を発表した。同四半期の売上高は前年同期比6%増の344億4700万元(約7156億円)、非アメリカ会計基準(Non-GAAP)ベースの純利益は同23%増の72億6700元(約1510億円)と、増収増益を達成した。

【写真】中国のクラウドサービスは、アメリカ政府が発動したAI半導体の対中輸出規制強化の影響が懸念されている。写真は百度の本社ビル

百度の屋台骨を支えるオンライン広告事業は、7~9月期の売上高が197億元(約4093億円)と前年同期比5%増加。その結果、総売上高から子会社で動画配信大手の愛奇芸(iQIYI、アイチーイー)を除外した「コア事業売上高」に占めるオンライン広告の比率は74.3%に上昇した。

広告コピー案を2分間で100本

「わが社は大規模言語モデル(生成AI)を活用し、オンライン広告システムの再構築を進めている。生成AIによる広告コンテンツの自動作成やターゲティング(ユーザー情報の分析)サービスの導入で、10~12月期のオンライン広告事業に数億元(訳注:1億元=約20億円)の増収効果が期待できる」。百度の董事長兼CEO(最高経営責任者)を務める李彦宏氏は、決算説明会でそう述べた。

百度は独自開発した生成AI「文心一言(アーニー・ボット)」を基盤にした派生サービスを立て続けに投入しており、9月にはマーケティング支援プラットフォームの「軽舸(チングー)」をリリースした。広告コピーの文案100本をわずか2分間、(AIが生成した)バーチャルヒューマンの動画を5分間、それらを組み合わせた広告コンテンツを5分間で作成することができ、すでに1000社超の顧客企業が利用しているという。

7~9月期のコア事業売上高のうち、オンライン広告以外の売上高は69億元(約1433億円)と前年同期比6%増加した。注目すべきなのは、そこに含まれるクラウド事業の売上高が同2%の減収を記録したことを、李CEOが決算説明会で明らかにしたことだ。

クラウド事業のマイナス成長は、百度が2020年10~12月期に事業単独の業績を開示し始めて以来、これが初めてだ。その要因について李CEOは、中国各地の地方政府によるスマート・モビリティ・プロジェクトの需要の伸びが鈍化したためと説明した。

そんななか、百度は生成AIをクラウド事業の成長トレンド復帰の起爆剤にしようとしている。「伝統的なクラウド市場はすでに成熟しつつあり、今後の競争の焦点はAIコンピューティング能力に移る」。百度の執行副総裁(副社長に相当)でクラウド事業の責任者を務める沈抖氏は、決算説明会でそう述べた。

AI半導体禁輸の影響は「限定的」

中国のクラウド業界では、アメリカ政府が10月に強化した高性能AI半導体の対中輸出規制の影響に対する懸念が強まっている。それに関して、あるアナリストが決算説明会で質問すると、李CEOは「影響は限定的」としたうえで、自身の見方を次のように語った。

「短期的には、わが社は生成AIの学習・訓練のために十分な量のAI半導体チップを確保済みだ。長期的には、(半導体の性能不足を補う)アルゴリズムの改良やアーキテクチャーの最適化などの方策を模索しており、問題を部分的に解決できると考えている」

(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は11月22日

財新 Biz&Tech

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