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「網膜剥離」片目がなっていても気づきにくい理由 世界的眼科医が語る「見えなくなっても治せる方法」

東洋経済オンライン / 2023年12月18日 18時0分

十分な準備をしなかった場合、人生の後半に目の病気や視力障害を引き起こしてしまうかもしれません(写真:C-geo/PIXTA)

日本は世界最長寿の国となり、人生100年時代を迎えています。ところが「目の寿命」ははるかに短く60〜70年ほど。十分な準備をしておかないと人生の後半に目の病気や視力障害で生活に支障をきたしてしまうかもしれません。世界中から治療を求めて患者の絶えない眼科専門医が世界基準の目の守り方を記した『100年視力』から一部抜粋、再構成してお届けします。

急に見えなくなっても慌てないで!

目に何かが当たったり、転んだ拍子に目をぶつけたり、思う以上に身近な出来事で起こるのが網膜剥離です。こうしたアクシデントでの網膜剥離は子どもや若い人に多いですが、アクティブシニアも増え、事故も増えていますから、若い人に限りませんね。

網膜剥離は、スポーツ時やアトピーで目をこするなど目への外傷で起こるほか、糖尿病性網膜症の出血や炎症で起こるのが代表的です。目はむき出しの臓器で、外傷に弱く、また、炎症が原因で膜が張り、引っ張られることでも剥離するわけです。

そして放置すると細胞が死んで失明します。つまり、とても深刻な目の病気です。とはいえ網膜剥離が起こって1カ月以内なら、近代的な硝子体手術で治せます。

見えにくくなったと、慌てて近くの病院でバックリング法や旧式の硝子体手術を受けると、かえって状況を悪くすることがあります。

バックリング法とは、シリコンバンドで眼の中央赤道部をしめつけるものですが、このバックリング法は、網膜についている硝子体線維が残っているため、手術後に激しい運動をすると硝子体線維が動き、網膜の再剥離が起きます。

さらにバックリング用のシリコンバンド移植のために結膜を全周切るので、後に緑内障になっても緑内障濾過手術ができなくなります。

大学病院などの研修病院でバックリング手術をした目よりも、何もせずに放置していた目のほうが、たとえ時間が経過していても、上級者による近代的な硝子体手術で治せることが多いのです。ぜひ慌てずに十分調べ、網膜剥離手術の経験豊富な眼科外科医を見つけて受診しましょう。

網膜の構造はこうなっている

網膜は10層の構造になっています。一番奥の層は網膜色素上皮層といい、その上の9層は神経網膜と呼びます。

この網膜色素上皮層では外から来た光が反射します。そして、すぐ上の網膜視細胞がその光に反応して電気信号を出す光受容部です。細胞層の表面側が電気信号を伝えていく伝達系の細胞層で、視神経へとつながって脳内の外側膝状体に伝わり、さらに後脳へと電気信号を伝えて、前脳が解釈することで、ものが見えるのです。

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