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令和のリクルート事件、特捜が悪質性を本気捜査 当時立件できなかった政治家に迫れるのか

東洋経済オンライン / 2023年12月21日 7時20分

(写真:JPMA)

2020年8月28日、安倍晋三首相は首相官邸で記者会見を開き、突然の辞任表明を行った。第96代内閣総理大臣に就任した2012年12月26日から7年8カ月後のことだった。第1次安倍政権時代を含めると首相在任期間は8年8カ月に及び、憲政史上最長である。

この間、永田町では「安倍1強」という言葉が日常的に使われた。ちなみに安倍氏が率いた自民党最大派閥・清和政策研究会(通称「清和会」=安倍派)は、森喜朗→小泉純一郎→第1次安倍→福田康夫→第2次安倍と、首相を継承したことから「清和会支配」という言葉も生まれた。

「清和会支配」の終焉

ところが朝日新聞(12月1日付朝刊)が1面トップで「安倍派、裏金1億円超か パー券不記載、立件視野 ノルマ超分、議員に還流 東京地検特捜部」のスクープを放った。この朝日記事をトリガーに「裏金疑惑」を巡り新聞各紙による報道合戦が展開されている。今や安倍派は疑惑追及の主標的となり、総崩れ状態である。「清和会支配」の終焉と言っていい。

同派は2018~2022年の政治資金パーティー券収入について、所属議員に課した販売ノルマ超え分を派閥の収支報告書に記載せず、議員側にキックバック(還流)させていた。その額は5年間で約5億円。こうしたノルマ分のみを収入として記載し、ノルマ超過分を記載しなかったのは志帥会(二階派)も同様で、その額は1億円超とされる(同派は議員側への還流を支出に、議員側も寄付収入として記載している)。

そうした中で、東京地方検察庁特別捜査部(伊藤文規部長)は19日、安倍派と二階派の事務所を政治資金規正法違反容疑(不記載・虚偽記載)で家宅捜索、強制捜査に踏み切った。

安倍、二階両派の会計責任者や議員秘書だけでなく、派閥の事務総長経験者、高額還流議員の任意事情聴取も行われており、特捜部は派閥側の立件を視野に入れている。

焦点となるのは、特捜部の捜査がこうした派閥ぐるみのパー券収入還流システムをどう位置付けているのかである。すでに特捜部の任意聴取に応じた会計責任者は「二重帳簿の存在」「余剰金の裏金化」を認めている。政治資金規正法違反容疑(不記載・虚偽記入)はゆるがない。

しかし、歴代の辣腕特捜検事は政治家を贈収賄容疑で立件、公判を通じて有罪にして「なんぼのもの」といった価値観で生きてきたとされる。そうした「美学」に固執するというのだ。

政治資金を透明化するという法の趣旨に反する行為

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