「日本株の長期投資」資金10倍の可能性は低くない リスクが少なく再現性が高いのが長期投資
東洋経済オンライン / 2024年1月11日 8時0分
今、投資すべきは日本株。そう言われてどう感じるでしょうか?「日本はもう終わった」「人口減少だし、ITでは出遅れたし、株価が上がる要素がない」などと思う方もいるかもしれません。
しかし、『会社四季報』読破の達人として知られ、投資スクール・複眼経済塾を主宰する渡部清二氏は、「今ほど、日本株に投資すべきタイミングはない」と言います。渡部氏による最新刊『プロ投資家の先を読む思考法』より一部抜粋・再構成のうえ、市場の先読み術に役立つ長期思考について見ていきましょう。
長期投資なら何でもいいというわけではない
巷では長期投資の有効性を説かれることがよくあります。ただし、どんな銘柄でも長く保有すればいいかというと、そういうわけではありません。長期投資はトレンドに合っていて、時間の経過とともに値上がりしていく銘柄を選定できてはじめて効果を発揮します。そこを間違えて一切値上がりしない銘柄を選んでしまうと、まったくの期待外れになってしまいます。
【図を見る】野村證券(野村ホールディングス)とキーエンスの株価の動きを比較
次の図を見ていただくと、そのことが如実にわかることでしょう。この図は東証プライム市場に上場しているキーエンスと野村證券(現・野村ホールディングス)、それぞれの株価および日経平均株価の変化を比較したものです。
キーエンスは大阪に本社を置くFAセンサーなど検出・計測制御機器の大手ですが、平均年収の高さで知られています。2023年4集秋号(9月発売)の『会社四季報』の平均年収の欄には、2279万円と記載されています。まさに、トレンドにぴったりとマッチして大躍進している企業です。
一方の野村證券はといえば、かつて日本の証券会社の中でナンバー1のポジションにいました。ところがそれも2000年代初めまでのこと。その後は悲しいかな、鳴かず飛ばずといったところです。バブル崩壊後、じりじりと下がり続けた日経平均株価にも及びません。
それぞれ1990年4月の株価を1とした場合、2020~2021年ころの株価は、キーエンス63.7倍、2022年12月時点では野村證券0.24倍、日経平均0.95倍となります。銘柄選びで運用成果が違ってくることがわかる事例でしょう。
さらに衝撃的なのは、それぞれの銘柄を毎月1万円ずつ買っていたと仮定した場合の試算結果です。「ドルコスト平均法」を使い、毎月一定の期日にそれぞれの銘柄を、私が野村證券に入社した1990年4月から2023年3月までの396カ月買った場合と仮定しましょう。投資金はいずれも合計396万円ですが、2023年3月末の評価額はこうなります。
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