1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

茅ケ崎?茅ヶ崎?混同する「ケ・ヶ」表記の謎を解く 駅名と自治体名が一致しない例も少なくない

東洋経済オンライン / 2024年1月13日 19時0分

JR「茅ケ崎」駅(写真:Graphs/PIXTA)

「自由が丘」「千駄ヶ谷」「龍ケ崎」など、「○○が○」という形式の地名は数多く存在します。何気なく口にする地名もいざ文字で書こうとして、この「が」って「ケ」だっけ、それとも「ヶ」だっけ……と悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。しばしば混同されるこれらの表記にも、現在に至る歴史があったのです。地図研究家の今尾恵介氏が「が・ガ・ケ・ヶ」表記の歴史について解説します。

※本稿は今尾氏の新著『地名散歩 地図に隠された歴史をたどる』から一部抜粋・再構成したものです。

が・ガ・ケ・ヶ……鉄道会社ごとの違い

今から半世紀以上も前の話であるが、昭和41年(1966)1月20日に東京急行電鉄の駅名が一斉に改められた。自由ヶ丘(東横線・田園都市線=現大井町線)、緑ヶ丘(田園都市線=現大井町線)、雪ヶ谷大塚(池上線)、久ヶ原(池上線)の4駅が、それぞれ自由が丘、緑が丘、雪が谷大塚、久が原に、つまり「ヶ」が「が」に置き換えられたのである。

【地図】駅名と町名、自然地名で表記が異なる七里ヶ浜と稲村ヶ崎

ついでながら、「の」の関係でも、田園都市線の溝ノ口駅が「溝の口」、目蒲線(現東急多摩川線)の鵜ノ木駅が「鵜の木」に、同じく世田谷線の宮ノ坂停留場が宮の坂と、この日に改称された。

この一斉改称の背景には、昭和37年(1962)施行の住居表示法があるのは間違いないだろう。

都内をはじめ全国各地の都市計画区域の町名表記の変更はこの頃に相次いでおり、これに際しては「当用漢字の使用」が強く要請され、丁目を設定する町名から「町」を外すなど(有楽町も「有楽」になりそうだった)、現在では考えられない強引な変更も少なくなかった。「古い表記」を一掃する圧力の中で、「ヶ」は読みの通りの「が」に置き換えるか、外される傾向が目立った。

東京の地名は市ヶ谷、阿佐ヶ谷、雑司ヶ谷(ぞうしがや)、千駄ヶ谷、幡ヶ谷、祖師ヶ谷(そしがや)など特に「~がや」が多い。このうち阿佐ヶ谷は昭和40年(1965)に阿佐谷北(あさがやきた)・阿佐谷南(あさがやみなみ)に、東急の駅名変更の対象になった自由ヶ丘も同年に自由が丘と改称されている。

同じく東急池上線の雪ヶ谷大塚駅の所在地であった雪ヶ谷(ゆきがや)町も同年に南雪谷に改称された。同線の久ヶ原駅(現久が原駅)の久ヶ原町は昭和43年(1968)に久が原となったので、こちらは駅名が先行した形である。同様に豊島区の雑司ヶ谷町は同41年に雑司が谷、世田谷区の祖師ヶ谷は同46年に祖師谷に変更された。

そもそも「ヶ」は「助字」だった

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください