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新NISAで投資初心者が知るべき「決算書のツボ」 銘柄選びの参考にする指標はこれだけ!

東洋経済オンライン / 2024年2月5日 12時20分

株式投資に役立つ決算書の読み方をご紹介します(写真:CORA/PIXTA)

2024年1月からスタートした「新NISA(少額投資非課税制度)」では、成長投資枠を使って、個別株投資にもチャレンジできます。株式投資には、決算書を読み解くスキルが欠かせません。決算書をまったく読まずに短期で売買を繰り返していては、継続的に利益を出すことはむずかしいでしょう。

決算書をしっかり読みこむことで、業績が安定して、今後の成長が見込まれる会社がわかります。今回は、累計12万部突破のロングセラー『【改訂2版】[ポイント図解]決算書の読み方が面白いほどわかる本』から、株式投資に役立つ決算書の読み方を一部抜粋してご紹介します。

決算書のメインは貸借対照表と損益計算書

決算書のなかでメインとなるのは、貸借対照表(B/S =Balance Sheet)と損益計算書(P/L =Profit and Loss statement)です。

【図解】決算書で見るべきポイントとは?

貸借対照表は、会社がもっているすべての資産と、すべての負債、純資産(資本)からなっています。会社の「財政状態」、つまり資金をどのように集めて、それがどのような状態にあるかがわかります。

一方、損益計算書は、その会社が1年間でいくら儲けたかがわかる書類です。会社が1年間でどれだけ売り上げを上げて、どれだけ仕入れて、経費がどれくらいかかったかをあらわす一覧表です。

その会社は儲かっている? 「収益性」はここを見る!

まずはとっつきやすい「損益計算書」から見ていきましょう。売り上げや受取利息などを「収益」、仕入れやさまざまな経費を「費用」といいます。損益計算書は、会社の1年間のすべての取引のうち、収益と費用をまとめて、「利益」を計算することが目的です。収益-費用=利益(儲け)です。損益計算書では、この利益を下記の5つに分類しています。

1.売上総利益:売上高から、売上原価(期首棚卸高に仕入高を加えて、期末棚卸高を引いた金額)を差し引いた利益

2.営業利益:売上総利益から、「販売費及び一般管理費」を差し引いた利益

3.経常利益:営業利益に、営業外収益と営業外費用をプラスマイナスして計算したもので、会社の経常的な活動による利益

4.税引前当期純利益:経常利益に、特別利益と特別損失をプラスマイナスして計算した利益

5.当期純利益:税引前当期純利益から、その期で支払うべき法人税などの税金を差し引いたあとの利益

売上高と、これらの利益の比率をみることにより、儲かっている会社なのかを判断する「収益性」の分析ができるようになります。個別株投資の銘柄選びの際、収益性分析でぜひチェックしておきたいのが、下記の指標です。

売上総利益率(=売上総利益÷売上高×100)

売上高における売上総利益の割合のことで、粗利益率、粗利率ともいいます。業種によってかなりばらつきがあるので、同業他社との比較を行うほか、前期との比較や商品別の分析をしてみるとよいでしょう。

売上高営業利益率(=営業利益÷売上高×100)

売上高に対する営業利益の割合のことをいいます。会社の本業で稼ぎ出す利益なので、少なくともプラスである必要があります。この売上高営業利益率も業種によってばらつきがあります。

売上高経常利益率(=経常利益÷売上高×100)

売上高における経常利益の割合のことをいいます。この売上高経常利益率が5%以上なら優良、10%以上なら超優良な会社です。

その会社は潰れない? 「安全性」はここを見る!

次に「貸借対照表」を見ていきましょう。

貸借対照表は、左側が資産の部、右側が負債の部と純資産の部の3部構成になっています。資産の部の合計と、負債の部及び純資産の部の合計は、ぴったり同じ金額になるので、英語で「バランスシート(B/S)」といいます。

貸借対照表も、損益計算書と同じように、資産の部、負債の部、純資産の部のさまざまな比率をみることで、会社の「安全性」を分析することができます。安全性とは、その会社が潰れづらいかどうかということです。安全性を把握するための基本的な指標は、下記の通りです。

自己資本比率(=自己資本÷総資本×100)

純資産の部のことを「自己資本」ともいいますが、総資本(負債の部と純資産の部の合計)に対してこれが占める割合を「自己資本比率」といいます。この比率が高ければ高いほど、経営が安定している会社です。

流動比率(=流動資産÷流動負債×100)

流動資産(現金及び預金、受取手形、売掛金など1年以内に現金ができる資産)と、流動負債(支払手形、買掛金、短期借入金など1年以内に支払わなくてはいけない負債)を比べたもののことです。流動比率は最低でも100%、できれば200%以上が望ましいとされています。100%未満の会社は、支払能力に不安があります。

損益計算書と貸借対照表を比較した分析

損益計算書と貸借対照表について、それぞれ単体での分析ではなく、両方を比べて企業分析を行う指標もあります。なかでも、株式投資に役立つ指標として、「総資本経常利益率(ROA)」と「自己資本当期純利益率(ROE)」があります。

総資本経常利益率(ROA)(=経常利益÷総資本×100)

この指標では、会社がもっているすべての資産を使って、どれだけ効率よく経常利益を稼いでいるかがわかります。経常利益が多いほど、また総資本が少ないほど、効率よく稼いでいることになり、指標も高くなります。この指標は、「売上高経常利益率」と「総資本回転率」に分解することができるため、その会社の効率を総合的に判断できる指標といえます。

自己資本当期純利益率(ROE)(=当期純利益÷自己資本×100)

株主の資本をどれだけ効率的に使って、利益を稼いでいるかがわかります。「当期純利益」を使う理由は、この利益が配当の原資になるためです。株式投資をするときに重視する指標となっています。上場会社が行う「自社株買い」は、買い取った自社株が自己資本から控除され分母が小さくなることで、ROEが大きくなり株価上昇の要因となります。

そのほかの投資指標

株式投資をするにあたっては、これまでみてきた売上総利益率(粗利益率、粗利率)、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本比率、流動比率、総資本経常利益率(ROA)、自己資本当期純利益率(ROE)といった指標に加えて、PER、PBR、EPS、配当利回り、配当性向など、株価や配当との比較をあらわした指標もよく使われます。

PER(Price Earnings Ratio 、株価収益率)

株価÷1株当たりの当期純利益

(例)2000円÷ 150円=13.3倍

PBR(Price Book-value Ratio 、株価純資産倍率)

株価÷1株当たりの純資産

(例)2000円÷1650円=1.2倍

EPS(Earnings Per Share 、1株当たりの当期純利益)

当期純利益÷発行済株式数

(例)300億円÷2億株=150円

配当利回り

年間配当金÷株価×100

(例)60円÷2000円×100=3.0%

配当性向

年間配当金÷EPS×100

(例)60円÷150円×100=40%

たとえば、PERが平均値と比べて低い株については割安株と考えて、今後は上がる可能性がある、と株式投資の参考にすることができます。

上場会社は四半期(3カ月)ごとに発表する決算書により、株価が変動しますが、理論通りに動かないことも多く、株式投資のむずかしいところですね。

苦手意識を抱きがちな決算書ですが、「ツボ」をしっかりおさえ、投資やビジネスにぜひ活用してみてください。

落合 孝裕:税理士・CFP

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