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金利再上昇でも米国株が最高値を更新する理由 今後の日本株の上昇ペースは緩やかになる?

東洋経済オンライン / 2024年3月4日 8時30分

日本株の好調の要因の1つは、やはり米国株の好調にある。金利が高止まりしているが、大丈夫なのだろうか(写真:ブルームバーグ)

米国株が堅調だ。昨年10月末を直近の底にして順調な上昇が続いており、代表的な指標であるS&P500種指数は今年2月9日に史上初めて終値で5000ポイントの大台に乗せた。その後も最高値を更新し続け、3月1日は5137ポイントまで上昇している。

昨年末までの米国株高は、FRB(連邦準備制度理事会)の利下げ転換期待を背景とした金利低下とともに起きていた。だが2024年に入ってからは、同国の債券市場で金利が上昇する中で、株高が併存する状況となっている。

もともとアメリカの金融当局は利下げに慎重だった

アメリカの金利が再び上昇しているのは、FRBによる利下げ期待が後退したことによる。昨年12月にジェローム・パウエルFRB議長が利下げについて議論していることを表明すると、市場では「利下げが早々に始まる」との見方から、年間で1.5%以上、すなわち25bps(ベーシスポイント)換算で年間6回以上の利下げが一気に織り込まれた。

その後、年明け以降は堅調な経済指標などを受けて、FRBが早期かつ大幅な利下げを行うとの見方は修正された。2月22日にクリストファー・ウォラー理事が「インフレ指標を少なくとも2~3カ月見定める必要がある」との考えを述べるなど、FRBの多くのメンバーから、年央以降の利下げが妥当との考えがあらためて示された。現在は、6月のFOMC(公開市場委員会)から利上げが始まり、年間3~4回の利下げになるとの見方に債券市場の思惑はほぼ収斂しつつある。

昨年12月のFOMC会合時に参加者が示した見通しでは、2024年における年間の利下げ幅は0.75%、つまり年間3回の利下げだった。FRBの政策転換への債券市場の期待は昨年末から揺れ動いたことになるが、もともと利下げ開始に向けて慎重姿勢を取るFRBの想定どおり、経済情勢を見定めながら利下げを始める可能性が高まっている。

2023年は、アメリカの長期金利が上昇すると米国株が下落、逆に長期金利下落なら米国株は上昇、という場面が多かった。これは、FRBが経済インフレをしっかり制御できないとの疑念が強かったためだ。株式市場では金利上昇のシグナルが「リスク要因」とみなされた。

FRBに対する市場の信認が高まっている

だが2024年に入り、FRBの想定どおりに利下げを徐々に進める可能性が高まる中で起きている金利上昇は、株式市場にとってリスクとはみなされない。むしろ、FRBの政策対応に対する信認の強まりで金利上昇が起きているのだから、株式市場にとっては悪いことではない。この点が、2024年になって金利が上昇しても米国株が下げない理由の1つである。

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