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「尊敬するお子さま」は金正恩の後継者なのか? 父娘のツーショット写真を公開する政治的意図

東洋経済オンライン / 2024年3月26日 10時0分

李雪主はその後もたびたび金正恩の現地指導などに同行し、腕を組む仲むつまじい姿をアピールした。2018年3月の金正恩訪中に同行した際や、9月に韓国大統領の文在寅(ムン・ジェイン)が平壌を訪問した際には、昼食会や晩餐会で相手方の夫人と席を並べるなどファーストレディとしての役割を務めた。しかも『労働新聞』は、敬称を付して「尊敬する李雪主夫人」が夫人外交を担う様子を報じていた。金正恩の母である高容姫(コ・ヨンヒ)が北朝鮮メディアに全く出てこなかったのとは好対照をなしている。

「尊敬する」という修飾語の意味

そして、2022年11月には娘の存在が初めて公開された。新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17型」を試射した際、金正恩と一緒に姿を見せたのである。北朝鮮メディアは「愛するお子さま」も試射に立ち会ったと報じた。

少女はその後もさまざまな場に金正恩とともに姿を見せるようになった。2023年2月には朝鮮人民軍創建75周年を祝う閲兵式(軍事パレード)を観覧する雛壇に現われた。呼び方は当初の「愛するお子さま」に加えて「尊貴であられるお子さま」が使われていたが、この閲兵式からは「尊敬するお子さま」という呼び方も多用されるようになった。「尊敬する」という修飾語は、後継者として登場した時期の金正恩のほか、既に述べたとおり李雪主にも使われた時期があったが、現在は娘にしか用いられていない。金正恩の妹である金与正(キム・ヨジョン)には使われたことすらない。

少女の姿は軍事関連のイベントのみならず、道路の着工式や養鶏場への視察といった経済関連行事で金正恩と一緒に見られるようになった。父娘のツーショット写真も次々に公開されている。写真の構図は、金正恩が後継者として表舞台に出てきた頃に金正日と写ったものとそっくりである。

まだ若い娘の存在が公開された理由は不明だが、何らかの政治的意図があるのは確実である。金正恩時代に入ってから、北朝鮮では「白頭の血統」に加えて「革命のバトン」という言葉も頻繁に使われるようになった。何らかの形で後継問題に関係していると考えるのが自然な解釈であろう。

ただし、金正恩の家族構成の全体像は明かされていないことに注意しなければならない。韓国の情報機関である国家情報院は、少女の姿が公開された際に第2子であり長子は男、第3子は性別不詳であるとの見方を発表したが、未確認情報に過ぎず、そのままキャリーすべきではない。

娘の名前は「ジュエ」なのか?

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