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怖かった街「立川」を変貌させた"大家"企業の正体 商業施設が続々開業、住みたい街にランクイン

東洋経済オンライン / 2024年3月27日 10時30分

「計画時にあった柵をほぼなくした開放的な空間です。『目的がなくても来てもらえる場所』を目指し、若い夫婦から高齢者まで幅広い年代の方が来られます」(村山社長)

前述の「ソラノホテル」もここにある。昨年、ホテルの運営会社に取材したが、「『上質なホテルを創る』が、『地元のホテルと競争しない』『婚礼と宴会ビジネスはやらない』という条件でした。ソラノホテルが“動”なら、ときとは“静”の存在です」と語っていた。

独創的な作りのホテル

同ホテルは、立川には珍しい独創的な施設だ。全客室が昭和記念公園に向き合い、10階と最上階の11階にはインフィニティ(水面と空が一体化したような)プールがあり、食材にこだわった「ダイチノレストラン」もある。

もうひとつの「オーベルジュ ときと」があるのは、立川の隣の西国立駅前。「オーベルジュ」とは、地方や郊外にある「こだわりの食を堪能して宿泊できる施設」の意味だ。

宿房・食房・茶房から構成される「ときと」には、国内外で実績を上げたホテルマンやシェフ、パティシエが各地から集まった。昨年取材した際の「開業記念特別プラン」は当時34万2250円(2名分、1泊2食、税・サービス料込み)もした。現在は「ときとで食事+ソラノホテルで宿泊プラン」もあるが、それでも高価格だ。

「時に『道楽で経営している』とも言われますが、魅力的な街づくりを目指すのは、広大な不動産という社会資本財を持つ会社としての責任だと思います」と話す村山社長。

再開発によりイメージもよくなった立川だが、課題は残されている。

残された課題は交通渋滞

「それは道路問題につきます。立川駅前のロータリーをはじめ、交通渋滞を引き起こす場所があちこちにあり、広域防災の視点からも見過ごせません。立川駅周辺で車が南北(南口と北口)に抜けられる道路もほとんどなく、他の地域から来られる方の評判も悪いです。立川市や東京都、国にも陳情していますが、なかなか解決されません」

こう語る村山社長だが、この十数年の街づくりには手応えを感じているようだ。

「今年11月に開業予定の『MAO RINK』は、フィギュアスケート選手の浅田真央さんの名前を冠したリンクです。浅田さんの“長年の夢”を当社が汲み取り、多摩都市モノレール立飛駅近くの所有地に1000人分の観客席を備えた国際規格のリンクやサブリンクを建設。レストラン、過去に着用した衣装や獲得メダルなどを展示するギャラリーも設ける予定です」

工事中の外囲いには、浅田選手の演技シーンのシルエットがプリントされており、この前で写真を撮る人も多いという。

かつての無機質なコンクリート塀時代から、シルエットの囲いにも進化していた。

高井 尚之:経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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