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「システム大移動」遅れ続出、自治体の本音と悲鳴 「コストは膨張」「クラウド実質選べない」現実も

東洋経済オンライン / 2024年4月2日 7時50分

政府が法律で決めてしまったのでやらざるをえないが、これだけ高くなるならはっきり言って何のためにやるかわからない。

――標準システムに移行した先で、クラウドサービスはどう選びますか。昨年11月、ガバメントクラウドの提供事業者として、AWS(アマゾン ウェブ サービス)など外資系4社以外で、さくらインターネットが初の国内事業者として条件付きで採択されました。

C クラウドについては基本的に、ベンダーのほうから「ここを使わせてほしい」というような話が結構ある。本来は自治体側で選べるのが望ましいが、そこで問題なければそれでいいかなとも思う。最終的に、外資系になりそうな気はしている。

E 自治体に裁量権がないのは、まさしくその通りだ。

今のベンダーは、「このクラウドでいきます」と話を持ってくることが多い。個人情報を海外の業者に渡すのはリスキーだし、さくらのような国内のクラウドは大事だと考えるが、ベンダーに「このクラウドでやってほしい」と頼んでも、向こうも人手不足で困るという話になる。もう少し期限に余裕があれば、選択できる余地も出てくるのではないか。

B 役場では、私が他の業務と兼務しながら、ひとりでシステム業務も見ている状態。正直、どこの事業者がいいとか、技術的な話がわかる職員もいない。

ベンダー側の意向でAWSになりそうだが、ベンダーを飛び越えて何か決めるというのがそもそも難しいのが本音だ。

今の現場はかなり混乱している

――全国一斉に移行することでトラブルが発生し、住民が不利益を被る懸念はありませんか。

D 今は過渡期で、新・旧両システムの移行や連携の部分をどうするかというところで、かなり混乱している。最善を尽くしてはいるものの、なかなかこちらのイメージ通りとはいかない。システムを移行して蓋を開けてみたら、トラブルも大なり小なり出てくる可能性はある。

F 20年ほど前、市町村が合併したときにシステムの全面刷新を行ったが、当時は相当短期間で全面乗り換えをすることになり、合併当日の朝もまだ完成していないなど、窓口が大混乱に陥る状況になった。

今は当時以上にシステムに依存することが増えたので、トラブルが起きたときの影響もすごく大きい。今後2年という短い移行期間になっているが、慎重を期して対応したい。

E 同じく、市民サービスへの影響が極力出ないよう進めたいのは当然だが、正直心配なところはある。

ベンダーのSEが不足しており、今回のシステムとは全然関係ない担当だったSEも回ってくる。そういう中で無理に進めると、トラブルも起きかねない。新しいシステムが入ってから、職員の習熟度が低いことで現場が混乱することも懸念はしている。

茶山 瞭:東洋経済 記者

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