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無印良品「欧州で破産」報道から見る変化の現実 欧州より東アジア、国内も都会では「飽き」?

東洋経済オンライン / 2024年4月3日 11時30分

その一方で、欧米は55店舗。2020年には、アメリカ事業を展開する連結子会社「MUJI U.S.A. Limited」がアメリカで破綻したことも話題になった。

日本では「おしゃれな生活雑貨店」として確固たる地位を築いた無印良品だが、欧米での影響力は限定的で、東アジアへの販路拡大にシフトしていたのだ(店舗数はいずれも2023年11月末時点、2024年8月期第1四半期決算説明会資料による)。

また、ガーディアン紙の報道からは、イギリスの小売業界全体が厳しい局面にあることもうかがえる。記事によれば「このニュースは、一連の有名小売店が苦境に立たされたことに続くものだ。ザ・ボディショップは2月に管財人を呼ぶと発表し、その後英国内の店舗の半分近くを閉鎖すると発表した。今月には、ファッション・ブランド、テッド・ベーカーを運営する会社が管財人を選任し、英国内の46店舗で数百人の雇用が危機にさらされている」という。無印良品だけが取り立てて不調なわけではないようだ。

既存店の改革を打ち続ける

とはいえ、無印良品(を運営する良品計画)が、何らかの次の一手を打たなければならない局面にあることは間違いない。実際、同社の営業利益は下がっていて、2018年2月期に記録した45,286百万円を、その後は超えられていない。売上高は順調に成長しているにもかかわらずだ。

同社としてもそこは認識しているのであろう、都心では旗艦店を中心とする既存店の改革、地方では積極的な出店攻勢を行っている。

例えば、新宿店ではアパレルに特化した店舗を導入した。特にアパレル部門は、2021年からの「ジェンダーレス」政策での売り上げの落ち込みが激しく、回復のためのテコ入れが必要だとされていた。そのための政策の一つがこうしたアパレル特化型店舗の設立だ。

これだけでなく、駅ナカなどを中心に日用品を中心とする品揃えの「無印良品500」も展開し、2023年8月時点で30店舗に達している。また、無印良品の定番商品ともいえる「カレー」の値下げに踏み切るなど、さまざまな施策に打って出ている。

この背景には、既存店での売り上げの落ち込みがある。2023年8月期の決算説明会資料によると、「全店+EC売上」が前年比で109.4%の一方で、「既存店+EC売上」が前年比で96.5%。客数は93.2%と、漸減傾向にあるのだ。客単価の上昇と、新店および新設既存店の寄与が大きいために見えにくくなっているのだが、都市部での「無印良品」の吸引力は、明らかに弱くなっている。

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