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無印良品「欧州で破産」報道から見る変化の現実 欧州より東アジア、国内も都会では「飽き」?

東洋経済オンライン / 2024年4月3日 11時30分

加速する地方出店と、地域との関わり

さらなる改革案として、ここ数年来、無印良品は地方にもその店舗を広げている。良品計画の年次レポート「MUJI2023」には、食品スーパーマーケットに隣接する場所を中心に、全国に出店を広げていく戦略が示されている。2024年3月12日には離島では初めてとなる店舗を「対馬」にオープンさせ、話題を呼んだことも記憶に新しい。

こうした地方出店の際、同社はチェーンストアとしては珍しい「個店主義」を貫き、その地域に合わせた店舗展開を行うことも、「MUJI2023」では示されている。新潟の直江津や北海道の函館など、全国各地に多様な無印良品が存在している。

地方出店の背景としては、「無印良品」というブランドを、より日常的に使うことのできるブランドにしたいという思惑があるだろう。スーパーマーケットの一角に置き、普段使いができる店にするというのは、売り上げを考える際には、確かに合理的だ。

ただし、こうした地方出店の際の標準店舗面積は600坪で、これまでの無印良品よりも大きい店舗となっていて、坪辺りの営業利益で苦戦していることも確か。

以上のように、無印良品は近年、都心店舗を中心とする改革、地方への積極的な出店という取り組みを行っているが、まだまだその成果は完全には花を咲かせていない、というところだ。

とはいえ、現在の地方出店戦略には一理ある。なぜなら、「無印」ブランドは特に地方ではまだ集客力を維持しているからだ(少なくとも、集客力がある、と思われている)。

例えば、ヨークベニマルは無印良品との共同出店を頻繁に行っている。共同出店によって若年層の集客が見込めるためだ。

実際、筆者が、那須塩原のヨークベニマルを核テナントとするショッピングモール「ヨークタウン」を訪れた際、そこにある無印良品は非常ににぎわっていた。近隣の「イオンタウン」などがガラガラだったのとは対照的だった。

また、SNSなどで「無印良品」を検索してみると、「うちの街にも無印がやっときた」と投稿している様子なども見受けられ、まだまだ地方では「無印」ブランドが魅力的なものだともいえる。

このように、無印良品は地方においてまだブランド力を維持しているようにも思える。「地方」に根を下ろし、拡大していく戦略は功を奏するかもしれない。

「無印良品」の「ストーリー」としての「地方戦略」

実は、こうした「地方戦略」の強みは、実質的な利益だけではなく、「無印良品」という会社の経営戦略を「ストーリー」として見たときにも、すんなり受け取れるものであり、その点でも、希望があると考えられる。

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