悩む管理職に伝授「部下を思い通りに動かす」コツ 「ナッジ理論」を活用して自発的に気づかせる
東洋経済オンライン / 2024年4月8日 16時0分
ここまで、ナッジ理論について説明をしてきましたが、ナッジを実際に活用するのは難しいと感じる人もいるでしょう。
ナッジを活用するためのポイントを、英国のBIT(英国政府内の省庁と連携している専門チーム)が、「EAST」というフレームを提唱しています(図表1)。
※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください
また、この「EAST」で、よりよい方向へ行動変容を促す具体的な手法として、「FIND CAMPS」があります(図表2)。実際に、仕事をするうえでナッジを活用しやすいシーンとしては、部下の育成などの人材マネジメントが挙げられます。
たとえば、図表2の行動変容ツールの1つに「フィードバック」があります。
フィードバックは適切なタイミングで
まず、フィードバックのタイミングです。フィードバックは、可能な限りスピーディーに行なうことが必要です。
たとえば、仕事でミスをしてしまったとき、すぐに上司に叱られたり、指摘を受けたりすると、以後は二度とミスをしないよう心がけるでしょう。
しかし、そのミスを指摘されず、トラブルにもならないまま、しばらくして、「そういえば……」と、上司に言われても、正直「えっ、いまさら言われても」と感じてしまい、反省や改善の意識は生じにくくなります。
これは、よいことを褒めたり承認したりするときも同じです。フィードバックのタイミングを適切に行なうことも、ナッジと言えます。
ほかにも、部下に計画どおりに仕事の目標を達成してもらうためにナッジが活用できます。
私たちは、計画を立てて行動しようとしても、それがすぐに結果に結びつかないと、計画を先延ばしにしやすい傾向があります。
これは、「現在バイアス」と言われるものです。「現在バイアス」とは、目標達成(将来の喜び)よりも、目先のことに目がいってしまう思考のクセのことです。マネジメントでは、この「現在バイアス」を利用して、先延ばしができない状況をつくり出します。
具体的には、目標を細分化して、小さい単位の目標に行動を結び付けます。また、その目標を達成した際にはインセンティブを与えるのもよいでしょう。
さらに、部下が尊敬の念を持っている人から、賞賛のメッセージを送ってもらうといった方法もあります。このような状況をつくり出し、行動を先延ばしするという選択肢を、本人のなかからなくす(先延ばしをしない行動の習慣化)ようにしてしまうのです。
さまざまな場面で実績を挙げるナッジ理論
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