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"普通の"元会社員ほど定年後「仕事がない」切実 シニアがいきいき働き続けられる場はどこに?

東洋経済オンライン / 2024年4月16日 7時20分

そこで同市は2010年より、東京大学高齢社会総合研究機構、UR都市機構と協定を結び、「長寿社会のまちづくり」を開始。前田さんもこのプロジェクトの一員として、まちづくりの事業に携わった。

「当初は、高齢者の孤立を防ぐべく、地域にサロンや喫茶店など集まりの場を増やすべきでは、と仮説を立てていました。

しかし、実際に当事者のお話を聞いてみると、『仕事があれば明確に外出の目的が生まれる』との声が最も多かった。集まりの場よりも、雇用の場を生み出すことのほうが重要だとわかったのです。

とはいえ、現役時代のように毎日電車通勤してフルタイムで働くのは厳しい。

『地域で無理なく楽しく働ける場があればそれが一番いい』との要望が多かったことから、『生きがい就労』をコンセプトとして固め、シニアの力を“地域の課題解決”に活かそうと考えました」

「農業」や「子育て支援」で活躍の機会を

そうして立ち上がったのが、「生きがい就労創成プロジェクト」だ。地域の休耕地を利用した都市型農業事業や、子育て支援事業を地域の事業者らと立ち上げ、シニアの「生きがい就労」の場をつくった。

たとえば、農業事業においては、田植えの補助作業や野菜の栽培・出荷作業にあたってもらうほか、子育て支援事業では、学童・保育園などで子どもの見守りや遊びのサポート業務を担ってもらう。

2013年には年間で230人超の高齢者の雇用を生み出した実績がある。

実際に働き始めたシニアからは、「生活のハリができた」「以前よりも健康になった」「地域に友人がいなかったが、新たに仲間ができてよかった」との声を多く得られた。

一方、事業者からも「短時間の労力が欲しいときにシニアの就労は助かる」「高齢者に周辺業務を担ってもらえることで、本業に専念できて事業のパフォーマンスが上がった」などの評価を得られたという。

「Ⅱ層シニアの場合、マイホームとある程度の年金収入があり、無理に働く必要はないけれど、『自分が役立てることがあればサポートしてもいい』というスタンスの人が多いです。

すると、地域の介護福祉や子育て支援、農業、観光事業など、地域性・公共性のある自治体関連の仕事はフィットしやすいと言えます。

民間企業のみならず、こうして自治体でのシニア活用の動きが広がれば、空洞化の解消に一歩近づくかもしれません」

人手不足の中小企業とマッチングも

一方、Ⅱ層シニアに特化した、民間の派遣会社も出てきている。その一つが、パソナマスターズだ。

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