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"普通の"元会社員ほど定年後「仕事がない」切実 シニアがいきいき働き続けられる場はどこに?

東洋経済オンライン / 2024年4月16日 7時20分

まず1つ目の「Ⅰ層」は、経営者や大学教授などのハイキャリア層や、専門の職業資格・スキルを持っているスペシャリストの層だ。

この層はこれまで培った人脈や民間の派遣会社(エグゼクティブ層のエージェント)を通じて、中小企業の顧問や社外取締役などの要職に就くことができる。

あるいは自ら起業して、新たな事業を始める人も多いだろう。つまり、定年後のセカンドキャリアに比較的スムーズに移行しやすく、社会からの支援の必要性が少ない層だ。

2つ目が「Ⅱ層」。定年を迎えた、いわゆる“普通”の元会社員や公務員である。この層の人たちは主に民間企業で定年まで勤め上げ、課長や部長として部署のマネジメント経験を持つ人も多い。

何か特別な専門スキルがあるというよりは、スキルや経験が広範囲にわたる「ジェネラリスト」の要素が強いと言える。

そして3つ目の「Ⅲ層」が、非正規雇用などで年金額も少なく、生計のために働かざるを得ない生活困窮者の層だ。

主にハローワークを通じて、なんとか仕事を確保し、生活を維持し続ける必要がある。

会社員時代の経験を活かしにくい

マッチング困難の問題を抱えているのは、2つ目のⅡ層シニアだ。

この層は人数的に最もボリュームが大きいにもかかわらず、そもそもⅡ層シニアを対象とした求人自体が乏しく、マッチングを支援する民間の派遣会社も少ない。

そこで、自らハローワークに出向いて求人を探す人が多いのだが、高齢者向けの求人は「軽作業、清掃、マンション・駐車場の管理、保安、送迎ドライバー」が大多数を占める。

シルバー人材センターを利用するという選択肢もあるが、就業時間の制限や会費の支払いなどさまざまな条件があり、利用を踏みとどまるケースも少なくない。近年、加入率が低迷していることも課題となっている。

業界によっては深刻な人手不足もあり、高齢者向けの求人は増えている。だが、Ⅱ層シニアの希望にマッチする仕事がほとんどない。

ここに、空洞化の問題が生じていると前田さんは指摘する。

雇用の場を生み出すのが重要

日々やることも、行くところもなく、家に閉じこもりがちになれば、体力は衰える一方。フレイル(筋力や心身の活力が低下した虚弱な状態)や認知症のリスクも高まるだろう。

そうした中、高齢者の社会参加や健康づくりにいち早く取り組んできた自治体がある。千葉県柏市だ。

同市は、高度経済成長期に東京都心のベッドタウンとして発展。地域の高齢化が急速に進む中、高齢住民の社会的孤立や孤独死への危機感を抱いていた。

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