1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「式部の恋文見せびらかす」夫のヤバすぎる行為 年の差夫婦の式部と宣孝、新婚早々大ゲンカ

東洋経済オンライン / 2024年4月20日 11時20分

こうして式部が都の邸(実家)に戻ると、宣孝から歌と文が送られてきたのでした。

式部に対して、愛おしいという想いや、前掲の歌のようなこと(この先は隠し立てをしないで、話し合える契りを結んでほしい)を表明したのでしょう。

それに対し、式部は「へだてじと習ひしほどに夏衣 薄き心をまづ知られぬる」と返します。

(私があなたを疎んじたことはありませんが、逆にその間にあなたの薄情さがわかりました)というような意味です。

ここで式部が触れている、宣孝の薄情さが具体的には何を指すのかわかりませんが、もしかしたら、近江守の娘と宣孝が噂になっていることをまだ言っているのかもしれません(宣孝には、近江守の娘に言い寄っているという噂があったのでした)。

式部からのキツイ返答に、宣孝はどう返したのでしょうか。

「岑寒み岩間氷れる谷水の ゆく末しもぞ深くなるらむ」

(まだお逢いしていないので、私の心も打ち解けていないように思われるかもしれませんが、将来はきっと深い仲になることでしょう)と返歌したのでした。

年上らしく悠然とし、余裕が感じられます。式部も結婚すると決めて都に帰ってきたのだから、「あなたの薄情さがわかりました」などと言わず、もっと温もりのある歌を送ればよいのにとさえ思ってしまいます。

推測ではありますが、式部の心の中には、これくらいのことを言っても、宣孝は受け止めてくれるだろうという「甘え」もあったのかもしれません。

こうした歌のやり取りをして、しばらくしてから、2人は対面するに至ったのでしょう。

どのような言葉を交わしたのか、それは誰にもわかりません。宣孝に対し、「つんつん」(愛想のない)した態度をとってきた式部ですが、「デレ」(甘えた)た様子も見せたのでしょうか。

新婚早々、式部が宣孝に激怒

ところが式部の歌を見ていくと、新婚早々、式部が宣孝に激怒する事件が起こったようです。

宣孝が、これまで式部から送られてきた手紙を、さまざまな人に見せ歩いたというのです。

宣孝が誰に見せ回ったのかはわかりません。一説によると、宣孝のほかの恋人・愛人ではないかと言う話もあります。

手紙やそれに添えられた歌というのは、書いた人の知性や性格をうかがう材料にもなります。それを不特定多数の人に見せられたとなっては、式部としては顔から火が出る想いだったでしょう。

式部は宣孝に迫ります。「私の差し上げた手紙をみな集めて返してくださらなければ、私はあなたには手紙は書きません」と。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください