日本未導入「エクスパンダーHEV」という実力車 タイで作られる4駆のような前輪駆動MPVの素性
東洋経済オンライン / 2024年4月26日 12時30分
富士山麓のオフロードコースで三菱自動車のピックアップトラック、「トライトン」を堪能したおよそ半月後、同じ三菱の「エクスパンダーHEV」を思い切り走らせた。
【写真】日本人が知らない三菱の人気モデル「エクスパンダー」の姿
エクスパンダーという名前を知らない人も多いだろう。このクルマは、東南アジアのファミリーカーであるMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)。今回の試乗の舞台は、タイ・バンコクからクルマで1時間強の距離に位置する、Mitsubishi Motors Thailand(MMTh)のテストコースだ。
パジェロやランエボで培った技術
テストコースの気温は35℃、さらに路面からの照り返しが強い。試乗の目的は、2024年2月に発売されたエクスパンダーHEVの実力を見極めること。そのため、さまざまな走行条件で、ガソリン仕様車と乗り比べた。
エクスパンダーHEV(タイ仕様)のボディ寸法は、全長4595mm×全幅1750mm×全高1750mm(ホイールベース2775mm)で、3列シートを持つ前輪駆動車(FF)だ。
なお、エクスパンダーにはアウトドア志向の「エクスパンダークロス」もあり、「エクスパンダークロスHEV」も今回、試乗することができた。
【写真】三菱自動車の「エクスパンダー」「エクスパンダークロス」のスタイリング(10枚)
エンジンは、ガソリンモデルが搭載する直列4気筒1.6リッターMIVEC(4A91型)をベースに新設計した、HEV専用の4A92型(最高出力70kW/最大トルク134Nm)。
ここに先代(タイでは現行車)「アウトランダーPHEV」用フロントモーター(85kW/255Nm)、インバーター、ジェネレーターを流用したハイブリッドシステムを搭載する。駆動用バッテリーはHEV専用のリチウムイオン電池で、電気容量は1.1kWhだ。
このハイブリッドシステムの最大の特徴は、「7つのドライブモード」があること。トライトンのようにトランスファーを持つ4輪駆動ではない前輪駆動車なのだが、トライトンと同様に、「パジェロ」や「ランサーエボリューション」で培った走行制御技術を応用するシステムを搭載している。
基本の2モードは、EV走行となる「EVプライオリティ」モードと、強制的にエンジンを動かし、ジェネレーターで発電した電力をバッテリーへ充電する「チャージ(回生)」モードだ。
注目は走行特性を変化させる5つのテレインモードで、「ノーマル」「ターマック」「ウェット」「マッド」「グラベル」がある。
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