三菱新型「パジェロS」実車展示! 全長4.8m級&2.4L Dターボ搭載、注目集まる!? 「次期パジェロ」は? タイ工場で見えたモノとは
くるまのニュース / 2024年4月8日 7時10分
三菱自動車はタイで新型「パジェロスポーツ」を発売しました。また最近では日本で「パジェロ復活」という話題が出ています。そんな三菱自動車に関して、タイの状況を探ってみました。
■三菱新型「パジェロスポーツ」の生産工場に訪れてみた。 果たして「次期パジェロ」のヒントはあったのか
一部の報道により注目を集めている三菱自動車の「次期パジェロ復活」という話題。果たして現実味を帯びているのでしょうか。
今回は、現行「パジェロスポーツ」や新型「トライトン」の生産国のタイで行われたモーターショーや現地生産工場を訪れてヒントを探ってみました。
12年ぶりに日本市場復活となったピックアップトラック三菱「トライトン」。
「パジェロ」を彷彿させるハードドライブに対する順応性、乗り心地とハンドリングの良さ、そして迫力満点の外装デザインが好評です。
そんなトライトンと合わせて、最近ネットニュースで話題なのが「近年中のパジェロ復活」という噂です。
根拠は、フルモデルチェンジしたトライトンのラダーフレームを活用して、トライトンと同じタイで生産して日本に輸出する可能性を挙げるメディアが少なくありません。
そこで、実際にタイで三菱自動車の動向を追ってみました。
まずは、タイでは最大級の自動車関連イベントである、「バンコクインターナショナルモーターショー」の三菱ブースで展示車を見ながら、三菱自動車関係者らと意見交換をしました。
今回の出展で目立ったは、三菱自動車として東南アジアで初めて本格導入するストロングハイブリッドシステム「e-Motion」を搭載する「エクスパンダーHEV」と、トライトンです。
さらに、タイで根強い人気があるのがSUVの「パジェロスポーツ」。
このショーに合わせるように、新たに2.4Lディーゼルターボを搭載しての登場です。
こうしてタイの三菱自動車ラインアップを見ていると、パジェロスポーツはフラッグシップとしての位置付けにあることを再認識できます。
販売実績については、コロナ禍が一段落した2022年前半から2023年半ばにかけて全体的には下降傾向にあることが分かります。
これは、タイの国内経済が厳しさを増す中で、自動車ローンの審査が厳格化された影響があるようです。
ただし、パジェロスポーツはタイにおけるハイエンドSUVであり、顧客である富裕層からは三菱自動車に対する信頼の高さから、一定程度の販売は確保し続けている状況にあります。
その上で、タイのユーザーや販売店が気になるのが、パジェロスポーツのフルモデルチェンジでしょう。
ラダーフレームをベースとするSUVの場合、ピックアップトラックと同様にフルモデルチェンジまでの期間が長い傾向にあります。
現行パジェロスポーツは2015年に登場しており、来年で10年目の節目を迎えます。
タイでは今、中国EVの台頭によって市場は大揺れの中、日系メーカーやフォードはピックアップトラックとそれをベースとした新型SUVの拡充を進めているところです。
このタイミングで、パジェロスポーツがフルモデルチェンジする可能性は十分にあるものと、ショーの現場で実感しました。
■パジェロスポーツの生産工場、そこで見たものは?
ショー取材を終えてから、今度は三菱自動車の生産拠点であるレムチャパン工場を訪問しました。
レムチャパン工場は、年間生産能力が完成車42万4000台で、日本国内を含めて三菱自動車としては世界最大の生産拠点となります。
工場は大きく4つに分かれており、第1工場でパジェロスポーツと日本では前世代となる「アウトランダーPHEV」、第2工場で「トライトン」。
そして第3工場で「ミラージュ」「アトラージュ(ミラージュのセダン)」「エクスパンダー(およびクロス)HEV」、さらにガソリンエンジン・ディーゼルエンジン・バッテリーパックの製造を行うMECがあります。
ここで生産されている各モデルで、構成する部品の現地調達率を見てみますと、トライトンの現地調達率は90%と高く、残り10%は日本で部材として事前に製造するノックダウン(KD)生産によるものだということが分かります。
一方、パジェロスポーツの現地調達率は76%となっており、残り24%は日本以外からということになります。
仮に、次期パジェロスポーツを新型トライトンをベースとして設計すれば、パジェロスポーツの現地調達率も上がるのではないかという印象を持ちました。
そうとはいえ、今回のモーターショーと生産拠点での取材の中で、日本向けの次期パジェロについて三菱自動車側から詳細な回答を得ることはできませんでした。
上段:「バンコクインターナショナルモーターショー」の三菱自動車ブース、下段:レムチャパン工場の様子(撮影:桃田健史)
さて、レムチャパン工場の特徴は、工場がある工業団地の中を完成車がナンバーがない状態で自走し、隣接するレムチャパン港の屋外保管場所に移動するというシステムです。
現在、タイで新車を製造するメーカーでこうした船積み港に隣接しているのは三菱自動車だけです。
この屋外保管場所には、なんと最大2万3000台を収納していて、ここから世界120ヶ国に向けて輸出されていきます。
その中には、様々な仕向け地で使われるパジェロスポーツや、日本を含めて輸出される新型トライトンの姿を見ることができました。
仮に、近年中にパジェロスポーツがフルモデルチャンジすれば、ここからトライトンと共に日本向けに船積みされることになるのでしょうか。
そのパジェロスポーツが、果たして日本でパジェロを名乗ることになるのでしょうか。
大いなる期待をもって、三菱自動車の今後の経営判断を待ちたいと思います。
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