日本未導入「エクスパンダーHEV」という実力車 タイで作られる4駆のような前輪駆動MPVの素性
東洋経済オンライン / 2024年4月26日 12時30分
こうした本格的なオフロード車向けのようなモード名を見ると、エクスパンダーHEVが4輪駆動車だと勘違いしてしまう人がいるかもしれない。
これら5つのモードでは、前輪のスリップを検知すると駆動力を制御する「トラクションコントロール」、前輪左右の駆動力と制動力を制御する「アクティブ・ヨー・コントロール(AYC)」、加速時のモーターやエンジンの出力を調整する「アクセルレスポンス」、速度域や路面状況に応じてステアリングの手応えを調整するステアリング制御、そしてシフトポジションを統合制御する。
4輪駆動と見紛う走り
まずはクルマの基本特性を知るため、時速60kmのスラローム走行でHEVのノーマルモードとガソリン車を比べた。
HEVは重量が少し重いが、グイグイっと曲がり踏ん張りが良く、実に扱いやすい。これはバッテリーパックを前席下に置き、最低地上高を205mmとガソリン車と同じにしながら、重心の高さを10mm下げたことや、車体床部にサイドメンバーとクロスメンバーを追加したことで車体剛性が上がった効果だ。
ターマックモードでスラローム走行をすると、ステアリングのガッシリ感としっかり感が増し、さらにAYCの作動によりMPVとは思えないスポーティな動きをする。
次に、散水車を使った定常旋回を時速50〜60kmで試した。ノーマルモードでも決してアンダーステアが強すぎる印象はない。
さらにウェットモードにすると、トラクションコントロールが強まると同時にAYCが効果を出し、ステアリングはターマックと同じガッシリ・しっかりしたものに。またウェットモードでは、アクセルレスポンスが緩やかになっていることに気づく。だから、安心感があるのにけっこうなハイペースで走れるのだ。
今回はダート路面での走行はなかったが、マッドモードやグラベルモードになれば、さらに4輪駆動と見紛うようなクルマの前後バランスの良さや、旋回性の良さを実感できることだろう。
エクスパンダーHEVは、こうしたハイブリッド技術と7つの走行モードを持ったうえで、タイでは「e:motion(イーモーション)」と名付けたマーケティング戦略を打ち出されている。
FFでテレインモードを装着する三菱車としては、2023年8月にインドネシアでワールドプレミアした新型「エクスフォース」が先行していた。
こちらは全長4390mm×全幅1810mm×全高1660mmと、トヨタ「ヤリスクロス」やホンダ「WR-V」クラスのコンパクトなSUVで、「ノーマル」「ウェット」「グラベル」「マッド」、4つの走行モードを持つ。
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