【週末映画コラム】ミュージカルとしてリメークされた『カラーパープル』/巨大マスコットが人を襲うギャップが面白い『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』
エンタメOVO / 2024年2月9日 8時0分
『カラーパープル』(2月9日公開)
20世紀初頭から1940年代、横暴な父によって望まぬ結婚をさせられたセリー(ファンテイジア・バリーノ)は、夫のミスター(コールマン・ドミンゴ)によって最愛の妹ネティ(ハリー・ベイリー)と引き離されたばかりか、夫から不当な扱いを受け続ける。
だが、歌手のシャグ(タラジ・P・ヘンソン)や、義理の息子の嫁ソフィア(ダニエル・ブルックス)との出会いによって、セリーは自立に目覚め、自分を変えていこうとする。
スティーブン・スピルバーグ監督が、アリス・ウォーカーの同名小説を映画化した86年作を、舞台版に続いて、スピルバーグが製作総指揮を務めてミュージカルとしてリメーク。監督はブリッツ・バザウレ。
スピルバーグがシリアスな題材の映画に初挑戦し、ウーピー・ゴールドバーグがセリーを演じたオリジナルは、黒人女性の年代史、あるいは一人の女性の成長、自立の物語として素晴らしい出来の映画だったが、アカデミー賞では11部門にノミネートされながら無冠に終わった。
今から思えば、当時はこうしたテーマに対して、人々の意識が今ほど成熟してはいなかったのだろう。その意味では、早過ぎた映画だったともいえる。もちろん、この映画を見る前にオリジナルを見ることが必須ではないが、どちらも見てみれば、こうした問題に対する意識や時代の変化をさらに深く知ることができる。
さて、37年の月日を経てミュージカルとして生まれ変わった本作は、ゴスペルを基調としたクインシー・ジョーンズ製作総指揮の音楽に乗って繰り広げられるキャスト全員の歌と踊りが見事で、テーマ性もさらに深まった感があったが、オリジナルにも増して強調された“神の存在”が、いまひとつピンとこなかった。
さりげない描写がかえって感動的だったオリジナルのラストシーンに比べると、全ては神のおかげと歌い上げる今回のラストは、キリスト教への思い入れや知識がない自分にとっては、違和感が残ったのは否めない。
『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(2月9日公開)
弟が誘拐され、行方不明となった悲しい過去の記憶から立ち直れずにいるマイク(ジョシュ・ハッチャーソン)。彼は、妹のアビーの親代わりとして生計を立てるため、廃墟となったレストラン「フレディ・ファズベアーズ・ピザ」の夜間警備員として働くことになる。
「モニターを監視するだけ」という簡単な仕事のはずだったが、妹を連れて深夜勤務に就いたマイクは、かつてそのレストランの人気者だった機械仕掛けのマスコットたちが動き出す姿を目撃。マスコットたちはかわいらしい姿から一転して凶暴化し、マイクや廃墟への侵入者を襲い始める。
世界的ヒットを記録した同名ホラーゲームを、ブラムハウス・プロダクション製作で映画化。監督はエマ・タミ。原作ゲームの開発者スコット・カーソンが製作・脚本に名を連ねる。エリザベス・レイル、マシュー・リラードが共演。
マイクが何度も見る夢や黒幕の正体などの謎解きの方に力が注がれ、ホラー描写は薄め。巨大マスコットたちに霊がひょう依して…というのは、ゆるキャラが悪さをするようなものなので、そのギャップが面白い。
とはいえ、多層的な夢が現実に影響を与えるという部分はクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』(10)、誘拐、夢と子どもの霊が事件の鍵を握るという設定は、同じくブラムハウスが製作したジョー・ヒル原作の『ブラック・フォン』(21)を思わせるところもある。
(田中雄二)
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