超新星爆発騒ぎのベテルギウスの現状
財経新聞 / 2024年3月27日 16時7分
オリオン座のベテルギウスは最高光度0等だが、2019年に1.5等星まで暗くなり、超新星爆発の予兆だと騒がれた。その後も、明るくなったり暗くなったりを繰り返していたが、2019年ほどの騒ぎにはなっていない。超新星爆発は数世紀に1度しか、肉眼ではお目にかかれないため、ぜひとも見ておきたいと思うのは人情だ。
ベテルギウスがオリオン座の赤色巨星であることはよく知られているが、明るさが変化する変光星であると認識している人は少ない。ウィキペディアによれば、ベテルギウスは0等星から1.3等星の間で明るさが変化する星だ。最も明るい時と暗い時とで明るさに約3倍の開きがあり、明るくなったり暗くなったりで大騒ぎする星ではない。
だが、2019年以降大騒動になったのは、通常の範囲を超えて明るさが変化し、そのような変化がかつて観測されたことがなかったからだ。2019年以降、それまでに起こらなかった変化がベテルギウスでは何度も起こっている。
直近では2023年5月、通常よりも50%も明るくなったことや、400日周期の明るさの変化が200日周期に縮まったことが報じられた。2024年3月19日にも、ベテルギウスの明るさが0.5等ほど暗くなったことが報じられており、これまでにない変化が起こっていることは間違いない。
恒星は水素が核融合ですべて使い果たされ、ヘリウムの核融合段階になると、膨張して赤色巨星となる。ヘリウムを使い果たして炭素の核融合段階に移行し、炭素が使い果たされると超新星爆発が起きるとされる。2023年には、あと300年足らずでベテルギウスの炭素は使い果たされるとの説も上がったが、大方の予測は少なくとも数万年は超新星爆発は起きないとの見解だ。
しかも2019年に暗くなった原因は、ベテルギウスで起きた大爆発による噴煙だと、ハッブル宇宙望遠鏡観測により明らかにされている。噴煙によりベテルギウスからの光が遮られたため、見かけの明るさが低下しただけだった。実際にベテルギウスが暗くなったわけではないことは残念な結論だが、多分我々が生きている間、この星が超新星爆発を起こすことはないだろう。
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