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ダイエットの効果がないのは睡眠不足が原因!?肥満と睡眠の関連性

JIJICO 2015年12月21日 18時0分

睡眠不足は太る原因の一つとなり得る

睡眠不足は肥満の原因です。正確には、太る原因の一つであると表現した方が的確です。睡眠不足が続けば、空腹を感じさせるホルモン「グレリン」が増加し、食欲を抑制して満腹を脳に伝達するホルモン「レプチン」が減少するためです。

また、眠っている間にもヒトの体は活動していますが、日中のように食事でエネルギーを作ることができない分、「コルチゾール」というホルモンによって体内のブドウ糖や脂肪をエネルギーに替えて活動しています。明け方にこのコルチゾールの分泌量が増え、日中の活動準備を始めますが、睡眠不足ではコルチゾールが分泌されず、体内に脂肪を蓄積してしまいます。さらに、夜遅くまで起きていると夜食と弁解しつつ、さまざまな物を食べてしまうのも悪影響を及ぼします。

睡眠時間が短くなるにつれて肥満度も上昇

コロンビア大学をはじめとするさまざまな研究報告や調査の結果を見ても、睡眠時間5時間以上の人と比べ、5時間以下の人の方が肥満になりやすく、短ければ短いほど肥満度も比例して上がります。睡眠時間が短い人が過剰な食事と甘い菓子やカロリーの高いものを好んで取りがちになる傾向があることも、研究結果に表れています。

2010年のNHK放送文化研究所の「生活時間調査」によると、日本人の平均睡眠時間は7時間14分。SAS広報委員会の業種別睡眠時間調査では、「情報技術(IT)・通信=5.61時間、マスコミ=5.70時間、飲食=5.87時間、金融=5.91時間、運輸=5.92時間、メーカー=5.96時間」と業種別のデータも出ていて、業種によっては平均より1時間以上も睡眠時間が少ないことが見て取れます。

しかし、そのような業種の人々をイメージしても、肥満率が高いとは思いません。しっかり睡眠を取れているいないに関わらず、太る人は太るとうことです。「睡眠不足=肥満」という思い込みは、無闇に不安を煽ることになります。つまり、睡眠不足は肥満になる要因の一つではありますが、最も大きな原因は食習慣や食の趣向性、運動量の少なさなどなど根本的な生活習慣や遺伝であることです。そのため、しっかり睡眠を取ればダイエットの促進にはなっても、生活習慣を改善しなければ効果は期待できないということでしょう。

睡眠は肥満だけでなく多くの不健康要因と関係している

肥満に関わらず、睡眠不足は脳、血管、血圧などにさまざまな病気を誘発させてしまいます。睡眠不足を続けないことで集中力や感情制御の低下を防ぐだけでなく、多くの病気から自分を守ることにつながります。とかく「睡眠不足」がマスコミのテーマになりがちですが、実は「過剰な睡眠」も同じリスクがあることも忘れてはいけないでしょう。

最適な時間は人によって、またその日によって異なります。決まった時間に起きる習慣をつけ、夜は眠くなったら就寝する……一見原始的な生活スタイルですが、こうしたスタイルが最も自分にその日必要な睡眠の取り方になり、肥満だけでなく多くの不健康要因から身を守ることになります。

(荒井 信彦/快眠探求家)

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