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スズキ・ダイハツ軽商用連携! キャリイ&ハイゼットは共通化する?「日本のインフラ」軽トラ&ジムニーの未来は?

くるまのニュース 2021年7月21日 19時56分

トヨタ・スズキ・ダイハツが軽商用事業でCASE普及に向けて「Commercial Japan Partnership」プロジェクトに参画する共同記者会見を2021年7月21日におこないました。「日本のインフラ」こと軽の未来はどうなっていくのでしょうか。

■ユーザーが気になるのは「軽自動車の今後」 果たしてどうなる?

 2021年7月21日、トヨタ・スズキ・ダイハツが軽商用事業でCASE普及に向けて「Commercial Japan Partnership」プロジェクトに参画することの共同記者会見をおこないました。内容としては、軽商用車部門で3社が連携するというのです。
 
 この3社の社長が壇上で並ぶの姿から、2021年3月のいすゞと日野というライバル同士をトヨタが仲を取りもって、中小型商用車での連携を図るためコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ(CJP)の発足を思い出します。
 
 そこに今回、スズキとダイハツも加わることで、物流全体としてトラック輸送から個宅配送などのラストワンマイルまで一気通貫したサービス体制の実現を目指します。

 このサービス体制を実現すれば、メリットは荷主や輸送事業者だけではなく、一般ユーザーにとっても荷物の輸送のコストが下がって、より新鮮な食料品をスーパーで手に入れることができるようになったり、日常生活のなかでさまざまなメリットにつながる可能性が出てきます。

 そのうえで、一般ユーザーとして気にあるのは「軽自動車の今後」でしょう。

 日本の自動車保有台数7900万台のうち、軽自動車は約40%の3100万台に及びます。

 また、地方部では農業、建築、小口物流などの商用のほか、一般ユーザーの毎日の足になっていて、シェアは5割を超えています。軽自動車はまさに日本のインフラなのです。

 今回のスズキとダイハツの協業はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)を踏まえた車両開発も含んだ総括的な内容です。

 なかでも気になるのは電動化です。

 日本政府が2021年12月末に公表し、さらに2021年1月の通常国会の施政方針演説で菅義偉総理が補足して説明した通り、日本は2050年のカーボンニュートラルを目指し、「遅くとも2035年までに軽自動車を含む日本国内新車100%を電動化する」としています。

 この発表があって時点で、自動車業界内では「スズキとダイハツの本格的な連携は必須」というのが大方の見方でした。

 そして今回、まずは軽商用での連携から始めたのです。

 そのうえで、質疑応答の記者からの質問で、スズキの鈴木俊宏社長もダイハツの奥平総一郎社長も、連携は軽商用に限定しているわけではなく、軽乗用にも及ぶのは当然の流れであるとの認識を示しています。

 また、電動化をEV(電気自動車)として捉えた場合、トヨタ・マツダ・デンソーがEVプラットフォームの基礎技術を共通するためのEV C.A. スピリットでの実績や、トヨタ社内の電動化事業部であるZEVファクトリーを通じて、トヨタ、ダイハツ、スズキ、スバルも含めてEVなど電動化技術の共同開発の基盤を構築していることを改めて強調しました。

 ただし、いつまでのどのような形といった具体的な指標は示さず、物流事業での実態調査に基づく各種企画を立案するなかで、スズキとダイハツの電動車開発の青写真が見えてくるという流れを想定しているようでした。

■軽トラは世界でもっともリーズナブルな最強の「働くクルマ」だが…

 今回の発表で示された商用車の市場動向では、日本国内での商用車保有台数1400万台のうち軽商用車が約58%を占めるといいます。

 また日本の物流事業者数は約6万社で、そのうち70%が個人、または従業員20人以下の小規模事業者なのです。

 こうした軽商用ユーザーを支えるため、価格はリーズナブル、でも働くクルマとしてタフであり利便性が高いクルマが求められた形が、軽トラックだといえます。

 ただし、軽トラックの開発は大変なのに価格はかなり抑えており、さらにユーザーの保有年数も長いことから、メーカーにとって軽トラックはけっして旨味があるビジネスだとはいえません。

 ここに、さらに電動化という高コストな新規導入が加わるため、ホンダの場合は仲間を見つける前に、「アクティ」の生産中止という苦渋の選択をしています。

 一方で、スズキとダイハツは両社が手を組むことでの量産効果を狙うと同時に、日野・いすゞ、または「ハイエース」を開発しているトヨタ車体などともCASE全般で連携するという戦略に打って出たのです。

 つまり、近い将来にはダイハツ「ハイゼット」とスズキ「キャリイ」が兄弟車になる可能性が高まったといえます。

 ちょうど、「GR86」とスバル「BRZ」の関係のようになるのではと推測できます。

室内が広い! スズキ「スーパーキャリイ(上)」とダイハツ「ハイゼットジャンボ(下)」

※ ※ ※

 では、スズキを代表するクロスカントリー車「ジムニー」はどうでしょうか。

 各種自動車メディアでは、ダイハツがジムニー対抗として、ラダーフレームではないオフロード向け四輪駆動車を「ラガー」という名称を復活させるのではという噂が流れています。

 一方で、アメリカのジープは、主力の「ラングラー」を含めたプラグインハイブリッド車の4xeを全モデルに拡充するのと並行して、EV専用モデルの発売にも明言しています。

 ジムニーについてもラングラーのようにラダーフレームを維持しつつ、ダイハツとの協業する形での次世代の電動化に期待がかかります。

 軽自動車業界の巨頭、スズキとダイハツの事業連携は、まさに「100年に一度の自動車産業大転換期」を象徴する出来事だと思います。
 
 2社の連携が今後、軽のみならず普通車を含めて、商用から乗用にいつどのように影響し、どんな2社協業モデルが生まれるのか。さまざまな業界からも動向が注視されそうです。

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