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女子W杯優勝の米代表「もの言うFW」、男子選手と同じ賞金を求めて吠える

ニューズウィーク日本版 2019年7月9日 15時35分

<LGBTでヌードも披露して、「ホワイトハウスなんかくそくらえ」とトランプに反抗もして見せたラピノーだが、男性社会にとっていちばん脅威なのは「男女同一賃金」を求める訴えかもしれない>

サッカー女子ワールドカップ(W杯)フランス大会でオランダを完封し連覇を達成したアメリカ代表。同チームのスター選手で、何かと話題が多いミーガン・ラピノーが改めて、サッカー選手の男女賃金格差の是正を訴えた。

<参考記事>同性愛を公言、ヌードも披露 女子サッカー米代表のミーガン・ラピノー

この投稿をInstagramで見る Re--Swimsuit Model. : @wattsupphoto #SISWIM @si_swimsuit ON. SALE. NOW. Megan Rapinoeさん(@mrapinoe)がシェアした投稿 - 2019年 5月月8日午前11時21分PDT

同大会において、出場時間428分の中で通算6ゴール3アシストを記録して「ゴールデンブーツ賞」に輝いたラピノーはこれまでも、選手の賃金とFIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップでの賞金に男女格差があると声を上げてきた。

FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は7月5日に、2023年の女子ワールドカップにおける賞金額を2019年の3000万ドルから2倍の6000万ドルに増額し、出場枠についても現在の24から32に増やすと発表した。だがその前年の2022年に開催される男子のワールドカップの賞金は、2019年から4000万ドル増額の4億4000万ドル。ラピノーは翌6日の会見で、インファンティーノを強く非難した。

「明らかに不公平だ。今2倍にして、次回はその数字を2倍か4倍にすべきだ。私が『敬意を感じられない』と言っているのは、そういうところだ」――ラピノーはオランダとの決勝戦の前日に行われた会見でこう語った。

問題は「配慮のレベル」だ

ラピノーはまた、2023年女子ワールドカップの決勝戦と同じ日に、男子サッカーのゴールドカップ(北中米カリブ海選手権)とコパ・アメリカ(南米選手権)の2つの大会の決勝戦が行われることについても、FIFAを厳しく批判した。

「格差問題を本当に気にかけているなら、それを拡大させるようなことをするだろうか。同じ日に3つの大会の決勝戦を開催するだろうか。そんなはずがない。私が言っているのは、配慮のレベルだ。女子サッカーの試合に細心の配慮を行って、その成長を手助けしていく気があるのか」とラピノーは語り、同日に3つの決勝戦を行うというスケジュール設定を「ひどい決定」吐き捨てた。

今回の女子ワールドカップでは、決勝戦後の表彰式でインファンティーノとフランスのエマニュエル・マクロン大統領がピッチに姿を見せると、客席からブーイングと「イコール・ペイ(同一賃金)」というコールが湧き起こった。

試合後の会見でこれについて質問を受けたラピノーは、「私も同じ思いだ」と語り、FIFAは賃金格差に関する議論を前に進めるべきだと主張した。



「みんな、この議論を次の段階に進める用意ができたと思う。『私たちにその価値があるのか』『賃金を平等にすべきか』『市場が同じと言えるか』などの議論はもう終わりだ。ファンも選手たちも、多くの意味でスポンサーも、そうした議論はとっくに終えている」と彼女は語った。「世界中の女性の連盟や活動をどう支えていくか、という次の段階に移ろう。そのためにFIFAに何ができるのか、世界中のリーグを支援するために我々に何ができるのかを考えよう」

そしてラピノーは、ワールドカップでは全ての選手が「望み得る最高のショー」を見せたとつけ加えた。


ラピノーの優勝インタビューとシュート場面


「人々を感動させてサッカーを広め、その人気を高めていくために、私たちにできるこれ以上のことはない。議論を次の段階に進める時がきたのだ」と彼女は語った。

(翻訳:森美歩)


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ラピノーの優勝インタビューとシュート場面


この投稿をInstagramで見る Body in Motion. Megan Rapinoeさん(@mrapinoe)がシェアした投稿 - 2018年 6月月25日午後1時28分PDT



ドニカ・ファイファー

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