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焦点:トヨタ、新型肺炎が上方修正に影 中国腰折れリスク

ロイター / 2020年2月6日 20時13分

トヨタ自動車は為替の円安効果や販売好調などにより2020年3月期の利益予想を上方修正したが、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大の行方は見通せず、その影響は織り込めていない。写真は同社のロゴ。2019年3月、ジュネーブで撮影(2020年 ロイター/Pierre Albouy)

白木真紀

[東京 6日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は為替の円安効果や販売好調などにより2020年3月期の利益予想を上方修正したが、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大の行方は見通せず、その影響は織り込めていない。感染が広がる中国での業務停止や人・モノの移動制限が長引けば、生産・販売に影響が出かねず、今回の上方修正が打ち消される可能性もある。

<販売への影響読めず>

トヨタは6日、今期の純利益見通しを前期比24.8%増の2兆3500億円へと、従来予想から2000億円引き上げた。営業利益は同2.7%減の2兆4000億円から一転、1.3%増の2兆5000億円へと増益予想に上方修正した。販売好調と円安効果などが寄与すると見ている。

ただ、ディディエ・ルロワ副社長は6日の会見で、今年の中国市場は昨年からさらに縮小するとみていたと説明した上で「(新型コロナウイルスによる)不確実性は高まっている。影響は今、本当に読めない。今後、数日で急激に状況が変わるかもしれない」と、警戒感を示した。

中国市場は景気減速などを背景に縮小が続き、多くの自動車メーカーが苦戦している。その中にあって、トヨタはこのところ好調だった。トヨタ単独の19年の中国販売は、前年比9.0%増の162万0698台と過去最高を更新。国内販売(2.9%増の161万0169台)を僅差ながら追い越し、初めて日中の販売規模が逆転した。

ただ、中国本土での新型コロナウイルスによる死者は500人を超え、2月の状況は深刻になっている。白柳正義執行役員は、こうした状況下では「なかなか車を買おうという感じにならないのではないか。情報はもっていないが、(販売への)影響は出るのではないか」と話した。

トヨタの成長はグローバルでバランスのとれた戦略によって支えられているとルロワ副社長は強調する。昨年のトヨタ単独の世界販売台数を国別でみると、中国は約17%を占めており、米国の25%に次ぐ規模で軽視できない。どれだけの影響になるか読めない状況だが、中国の落ち込みは他の市場でできるだけ補完する構えだ。

<部品供給でも高まる中国の存在感>

地方政府の指令を受け、トヨタは中国にあるすべての工場の稼働を2月9日まで停止。10日以降については状況をみながら判断する構えだ。稼働を停止するのは、現地企業と合弁の広汽トヨタなど4つの車両組み立て工場と8つの部品工場の計12工場。組み立て工場では当初、3日か4日から再開する予定だった。

中国は部品供給拠点としても存在感を増しており、新型肺炎の拡大は自動車産業に大きな影を落としている。人・モノの移動が制限され、中国現地の工場の操業停止が続く中、中国製部品は中国以外の日本などの工場でも採用しており、「部品の在庫状況や代替生産が可能かどうかを今、精査している」(白柳氏)という。

感染拡大を防ぐため、人やモノの移動を制限し、新型コロナウイルスの発生地とされる湖北省以外の多くの地域でも、地方政府の指令を受け、工場や営業所など各拠点での業務停止が続いている。仮に生産を再開しても、感染者が多く出ている中国でどれだけ人員が現場に戻るかも不透明となっている。

ある自動車メーカー役員は「中国にとどまらず、世界の自動車生産が停滞する事態になりかねない」と警戒感を示している。

(石田仁志)

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