フィッチ、中国格付け見通し「ネガティブ」に下げ 成長にリスク
ロイター / 2024年4月10日 17時48分
格付け会社フィッチは9日、中国の格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げた。同国の財政見通しに対するリスクが高まっていることを理由に挙げた。写真は上海で2022年2月撮影(2024年 ロイター/Aly Song)
[北京 10日 ロイター] - 格付け会社フィッチは9日、中国の格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げた。同国の財政見通しに対するリスクが高まっていることを理由に挙げた。新たな経済成長モデルへの移行で不透明感が高まっているとしている。格付けは「Aプラス」に据え置いた。
格付け会社ムーディーズも昨年12月、中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更。中国当局が債務問題を抱える地方政府や国有企業への資金支援を迫られることが予想されるほか、「不動産部門縮小に関連したリスク」も見通しの引き下げ要因とした。
ナティクシスのアジア太平洋担当シニアエコノミスト、ゲーリー・ウン氏は「見通し変更は、成長鈍化や債務拡大という二重苦によって中国の公的財政の厳しさが増していることを反映した」と指摘。
「中国がすぐにデフォルト(債務不履行)になることを意味するものではないが、地方政府の財政が悪化する中、LGFV(地方政府傘下のインフラ投資会社)で信用格差が広がる可能性がある」と述べた。
フィッチは、中央・地方政府の明示的な債務が今年、国内総生産(GDP)比61.3%と、昨年の56.1%から増加すると予想。19年の38.5%から大幅な悪化が見込まれている。
一般政府財政赤字については、2024年にGDP比7.1%と、23年の5.8%から上昇すると見込んだ。予想通りなら、厳格化な新型コロナウイルス感染予防措置で景気が悪化した20年に記録した8.6%以来の高水準となる。
今年の中国成長率については4.5%とし、昨年の5.2%から鈍化すると予想した。
フィッチは「格付け見通しの修正は財政見通しに対するリスクが高まっていることを反映している。中国は不動産に依存した成長から、政府がより持続可能と考える成長モデルへの移行過程にあり、経済見通しの不透明感が高まっている」と説明。
「近年の高水準の財政赤字と政府債務拡大は、格付けの観点から見て財政バッファーを縮小させた」とした上で「名目成長率の低下で経済全般の高レバレッジ管理の困難さが増し、偶発的な債務リスクが高まっている可能性がある」との見方を示した。
中国財政省はフィッチの決定は遺憾だと表明。地方政府債務に起因するリスクの防止と解消に向けた措置を取ると強調した。
*システムの都合で再送します。
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