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中国、フィッチの格付け見通し変更に反論、評価システムを批判(中国、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月12日 10時20分

中国財政部は4月10日、大手格付け会社フィッチ・レーティングス(以下、フィッチ)が、中国の格付け見通しを「安定的」から「弱含み」に変更(注1)したことについて、ウェブサイト上で記者に答えるかたちで反論した。フィッチは変更の理由として、中国の財政面でのリスク上昇を挙げている。なお、格付けは上から5番目の「A+」に据え置いた。

中国は、2023年12月にムーディーズが中国の信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」へ変更した際にも、同様の方法で反論している(2023年12月7日記事参照)。

財政部は、格付け前にフィッチと「大量かつ深い」意思疎通を行い、レポートの一部には中国の見方が反映されているとした。同時に、フィッチの評価システムは、適度に拡大し質と効果を高めた中国の財政政策の、経済成長とマクロレバレッジ(注2)安定へのポジティブな効果を、先取りして反映することができていない、と批判した。

また、適度な財政赤字を維持することは、長期的には内需拡大と経済成長につながり、良好な信用格付け維持に資するものだとした。2024年の中国の財政赤字目標(GDP比3%)は、適度かつ合理的なもので、経済の安定成長に資するものであると同時に、負債比率のコントロールも容易で、将来発生する可能性があるリスクへの対応余地を残すものだとした。

地方政府債務リスクの解消については、再融資債券(注3)の発行により、返済集中リスクと金利負担の引き下げをはかるとともに、各地方政府が自らの努力で具体的な措置を進めているとした。

2024年3月に開催された全国人民代表大会(全人代)では、2024年の赤字規模を前年から1,800億元(約3兆7,800億円、1元=約21円)拡大し4兆600億元規模、地方特別債(専項債)(注4)は1,000億元増の3兆9,000億元規模とするとされた。また、国家重要戦略の実施と重点分野の安全保障能力の整備のため、今後数年にわたる超長期特別国債を発行するとした上で、2024年は1兆元を発行するとした(2024年3月6日記事参照)。

中国政府は専項債および超長期国債は財政赤字に計上していないが、フィッチの計算では2024年の赤字比率は7.1%に達し、2020年(8.6%)以来の高さになると指摘している。

(注1)外貨建て長期発行体デフォルト格付け(IDR)の見通し。同社の「格付けおよびその他の形態の意見に関する定義」では「アウトルック」と表現されており、今後1、2年のうちに格付けが遷移する方向性を示す。「強含み」「弱含み」「安定的」「流動的」などがある。

(注2)非金融企業、政府、家計の債務残高とGDPの比率。

(注3)一部の満期を迎えた地方政府債券の元本の返済に使用されるもの。

(注4)省、自治区、直轄市などが収益性のある公益プロジェクト実施を目的として発行する地方債券。プロジェクトに対応する政府基金収入もしくはプロジェクトの収入により元利を返済する。

(河野円洋)

(中国、米国)

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