米国株式市場＝ダウとＳ＆Ｐ反落、クレディ・スイスの経営不安で

ロイター / 2023年3月16日 6時55分

米国株式市場は反落して終了。スイスの金融大手クレディ・スイスの問題を受け、銀行危機を巡る懸念が再燃し、来週の米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）では小幅な利上げにとどまるという期待を相殺した。ただ、相場は引けにかけて下げ幅を縮小した。（２０２３年　ロイター／Andrew Kelly）

［ニューヨーク　１５日　ロイター］ - 米国株式市場は引けにかけて下げ幅を縮小したものの、ダウ工業株３０種とＳ＆Ｐ総合５００種は反落して終了。スイスの金融大手クレディ・スイスの問題を受け、銀行危機を巡る懸念が再燃し、来週の米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）での利上げが小幅にとどまるという期待を相殺した。

主要３指数は、スイス政府がクレディ・スイスの安定化に向けた選択肢を協議しているというブルームバーグの報道を受けて、終盤に下げ幅を縮小。ナスダック総合は小幅高で終了した。

テミス・トレーディングのトレーディング担当共同マネジャー、ジョー・サルッジ氏は「ニュースのヘッドラインに左右される展開だが、深刻なニュースでないのは良いことだ。影響に関しては決して２００８─０９年の段階にはないと思う」と語った。

それでもクレディ・スイスの問題は銀行セクターを一段と圧迫した。米当局はシリコンバレー銀行（ＳＶＢ）とシグネチャー・バンク破綻の影響波及を防ぐために緊急措置を講じて投資家の懸念に対応したところだった。

一部の投資家は、ＦＲＢの積極的な利上げが金融システムに亀裂を生じさせたとみている。

クレセット・キャピタルのジャック・アブリン最高投資責任者（ＣＩＯ）は「（ＦＲＢは）１９８０年以降で最も急激で積極的な引き締めを行ってきたことから、一旦停止する可能性がある」と述べた。

クレディ・スイスの米市場上場株は、同行の筆頭株主が追加出資できないと表明したことを受けて過去最安値に下落した。

前日に反発していた米中堅銀行のファースト・リパブリックとパックウェスト・バンコープはそれぞれ２１．３７％と１２．８７％の大幅安。値動きの荒い展開となり、数回にわたって売買が停止された。

ウェスタン・アライアンス・バンコープと金融サービス会社チャールズ・シュワブは一時の下げから持ち直し、それぞれ８．３％と５％上昇、逆行高となった。

コーナーストーン・ウェルスのマネジングパートナー、ジェフリー・カーボーン氏は「金融セクターではポートフォリオにおける投資リスクがそれほど高くなく、嵐を乗り切ることができる銘柄に注目する必要がある」と述べた。

ＪＰモルガン・チェース、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ（ＢｏｆＡ）など米銀大手は軒並み下落。Ｓ＆Ｐ銀行株指数は３．６２％安、ＫＢＷ地方銀行株指数は１．５７％安となった。

Ｓ＆Ｐ主要１１セクターは大方が下落。エネルギーの下落率が５．４２％と最大だった。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を３．３４対１の比率で上回った。ナスダックでも２．３３対１で値下がり銘柄数が多かった。