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講談社、集英社、KADOKAWA、小学館...新卒就職人気企業ランキング、出版社が席捲の理由 コロナ禍とスマホの影響が「就活」にも

J-CASTニュース / 2024年2月4日 12時0分

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就職人気企業ランキングが、コロナ禍をはさんで変化している。

学情の「就職人気企業ランキング」(2024年1月19日発表)によると、コロナ禍前は「JTBグループ」「HIS」など旅行・レジャー業界の人気が高かったが、直近は「講談社」「集英社」「任天堂」などデジタルコンテンツ提供企業への人気が高い傾向にあるのだ。

それは、なぜか。就活生の動向に詳しい採用コンサルタントは「コロナ禍を経験した就活生にとって、最も身近だったデジタルコンテンツへの関心が高いから」だと指摘する。

伊藤忠商事が1位であり続けるのはなぜ?

学情の「就職人気企業ランキング」によると、最新の2025年卒(2023年調査)では、1位:伊藤忠商事、2位:講談社、3位:集英社、4位:任天堂、5位:アサヒ飲料、6位:大日本印刷(DNP)、7位:KADOKAWA、8位:オリエンタルランド、9位:小学館、10位:味の素――という結果になった(図1)。

特長的なのは、2位:講談社、3位:集英社、7位:KADOKAWA、9位:小学館など、マスコミ・出版社系の企業がトップ10に多かったこと。4位:任天堂とあわせて、デジタルコンテンツ提供企業が人気を集めているかたちだ。

これに対して、コロナ禍前、そしてコロナ禍中はどうだったか。

コロナ禍前の2019年調査(2021年卒)では、インバウンドも好調だった影響もあってか、2位:JTBグループ、5位:エイチ・アイ・エス、10位:オリエンタルランドがトップ10入りするなど、「旅行」「レジャー」業界の人気が高かった(図2)。

一方、コロナ禍中だった2020年調査(2022年卒)では、2位:味の素、3位:アサヒ飲料、8位:ロッテ、そして10位:イオングループなど、生活に密着した企業が上位に並ぶなど、コロナ禍の「巣ごもり消費」をけん引した業界が支持を集めていた(図3)。

その後、コロナ禍が徐々に明けてきた2021年調査(2023年卒)や2022年調査(2024年卒)からは、最新の調査結果と同じく、出版社の「講談社」「集英社」が徐々に順位を上げてきていた。なお、2019年調査から最新の2023年調査まで、伊藤忠商事が1位を守り続けているのも特長だ。

コロナ禍をはさんで変化した就職人気企業ランキング――。就活生の動向に詳しい、採用コンサルタントの大塚教平氏(シナリオ・プランニング代表取締役)に、こうした傾向を分析してもらった。

――学情の調査の場合、伊藤忠商事が1位を守り続けています。このあたりの理由は。

大塚教平氏 一般的に大学生(就活生)は、自分の生活に身近な企業への関心が高いものです。今回のランキングもその傾向がみととれる結果ですね。1位の伊藤忠は生活消費関連事業が強みで、扱う商品や商材としては食べ物や飲料など。そのため、同社が手がける事業のことを学生はイメージがしやすく、その仕事に携わってみたい、と志望動機になりやすいのです。ちなみに、ほかに就職人気ランキング上位の常連といえば食品メーカーで、それなども象徴的です。

コロナ禍中、最も身近だったスマホ&デジタルコンテンツ

――ここ数年の傾向として、デジタルコンテンツ提供企業への人気が高いようです。これはなぜでしょうか。

大塚氏 コロナ禍の「巣ごもり消費」が、就活にも影響したといえると思います。コロナ禍中に大学生活を過ごした世代(たとえば2020年、2021年に大学入学)が就職活動に取り組んでいるので、彼らの志向がランキングにあらわれているのでしょう。
たとえば、コロナ禍前はアミューズメントやレジャー、旅行など外に出ていくことが学生にとって身近なことで、そうした企業が就職人気企業ランキングの上位にもきていました。ところが、コロナ禍中、最も身近だったものはスマートフォンでした。

――たしかにそうですね。

大塚氏 さらに、です。コロナ禍中、なかなか学校に通えず、通常の学校生活も送りにくかったと思います。授業もリモートだったり、録画データによるものだったり。また、サークル活動もできず、友達もつくりにくかったかもしれません。そんな時、スマートフォンで見るアニメなどの「デジタルコンテンツ」が身近でしたし、同時期には漫画アプリも定着していました。
そうした背景があり、前述のように、大学生は生活に身近な企業に関心を持つため、就活を考えた際には、デジタルコンテンツを提供する企業への関心が高かったのでしょう。

――思えばこの時期、週刊少年ジャンプ(集英社)の『鬼滅の刃』、週刊少年マガジン(講談社)の『東京卍リベンジャーズ』など、ヒット作が続いていましたね。

大塚氏 そうですね。それらのコンテンツは、スマホで遊ぶソーシャルゲームなどとコラボすることもよくありました。そのゲームが面白かったから、コンテンツを提供する大元の企業である出版社への関心も高まったのだろうと思います。
いずれにしても、大学生にとって自分が身近に触れているかどうかが、企業選びに大きく影響するのです。

大日本印刷はなぜランクイン? 自分の中に「軸」を持って就活を

――もしかしたら、それこそリモート授業中にソシャゲで遊んでいた学生もいたかもしれませんね。それはさておき、一方で6位の大日本印刷(DNP)はランキング中では唯一の印刷業界の企業となっています。意外感がありますが。

大塚氏 大日本印刷はブランディングがうまい企業だと思います。同社は、社会的な関心が高いSDGsやDXへの取り組みなどについて、スピーディに、かつ積極的にインターネット上で情報発信している印象がありますね。
しかも、SDGsなどは学生たちの関心がかなり高いテーマです。こうした新しいことへの取り組みに関する情報発信は、就活中、インターネットで情報をチェックする学生へのアピールにつながっているのでしょう。そういう意味で、大日本印刷も「学生に身近な企業」といえそうです。

――最後に、就活中の学生はどんなことを意識すべきでしょうか。ポイントは?

大塚氏 自分の中に「軸」を持ってほしいと思います。「どの会社に入りたいか」よりも、「自分が将来どうなりたいか」に向き合って、考え抜いてほしい。あるいは、「将来どうなりたくないか」から考えてもいいでしょう。
いずれにしても「自分がどうありたいか」が大事です。
その視点で考えを深めていくと、自分のビジョンが見えてくる。すると、こういう職種に就きたい...そのためにはこの企業へ...という筋道もわかってくると思います。

――当然ながら、会社に入ることが目的ではなく、その先にある仕事で活躍することが大事ですから。また、そうでないと、あわない会社だからと転職することになってしまいます。

大塚氏 ええ。「内的動機づけ」と言いますけれど、自分のビジョンにしたがって会社を選んだ人は、その後の仕事への取り組み方もぶれないと思います。自分がこうなりたいから、この仕事を頑張っている、と。そういう人はどこかポジティブだし、反省とともに改善して成長していこうとするものです。ぜひ、「自分はどうなりたいか」と自分の中に「軸」をもって、就活に臨んでほしいと願っています。

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