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日本のスポーツ産業、どうしたらもっと盛り上がりますか?【独占対談】横浜DeNAベイスターズ オーナー・南場智子さん×ハイセンスジャパン社長・李文麗さん

J-CASTニュース / 2024年3月13日 12時0分

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左から、ハイセンスジャパン社長・李 文麗さん、南場 智子さん

3月、プロ野球の2024年シーズンがいよいよ開幕する。優勝チームはどこか。歴史に残る大記録は生まれるか。球場に行くこと、それ自体もファンにとっては楽しみだ。

そんななか、選手たちの「熱き」プレーを、誰よりも楽しみにしている人たちがいる。

横浜DeNAベイスターズ・オーナーの南場智子(なんば・ともこ)さん。

そして、電機メーカーのハイセンスジャパン社長・李 文麗(り・ぶんれい)さん。

ハイセンスジャパンは昨シーズンから、横浜DeNAベイスターズを支えるスポンサーとなり、「横浜スタジアム」で行われるイベントを盛り上げていることをご存じだろうか。

今回、スポーツを軸に協力する2人が、2月におこなわれた横浜DeNAベイスターズの沖縄キャンプを視察。そして、現地で「スポーツビジネス」をテーマに、J-CASTニュースBizの独占対談が実現した。

2人のスポーツへの思いとは――。

(聞き手・構成/経済ジャーナリスト 浦上早苗)
(写真/ハイセンス・ジャパン 石橋和之)

「スポーツって本当に人を感動させる稀有なコンテンツです」

<横浜DeNAベイスターズ、そして野球のどんなところがお好きですか?【独占対談】横浜DeNAベイスターズ オーナー・南場智子さん×ハイセンスジャパン社長・李文麗さん>の続きです。

―― DeNAとハイセンスはともにスポーツの応援に力を入れています。そこで、スポーツビジネスについてもお聞きしたいのですが、南場オーナーは日本のスポーツビジネスやベイスターズという球団を社会の中でどういう存在にしていきたいですか。

南場 智子さん DeNAはDelight(デライト、喜びという意味)を届けるサービスを手掛けていますが、スポーツって本当に人を感動させる稀有なコンテンツだと思うんですね。
小説や映画もすばらしいですが、スポーツは人が人を感動させるためにつくったコンテンツではなく、選手たちが自分やチームのために全力で戦う中で想像もしなかった、つくりものではないドラマが起こるんです。その感動を自分自身が知ってしまって、多くの人に届けたい気持ちがまずあります。
そして、スポーツって単なる興行にとどまらず、地域を盛り上げ、連帯感やシビックプライドを高めることもできる、社会的に意義のあるものです。

―― スポーツにはさまざまな側面があります。

南場さん ただ、日本のスポーツはこれまではビジネスというよりは福利厚生の延長みたいな運営が続いてきました。それでは発展に限界があるので、私たちはきちんと事業として成り立たせることによって、それ自体が好循環を生んでいく、スポーツで得た収益を野球に再投資をして発展していく――それを続けていくことで、環境が変わっても隆々と発展が続いていくのではと考えています。
DeNAはインターネットというレッドオーシャンの厳しい競争を戦い抜いてきたので、そこで培ったマーケティングや戦略的指向をスポーツに落とし込んで、収益として回る体制に変えていきたいです。

―― プロ野球ってかつては赤字で当たり前という運営でしたよね。その結果、本社が支えきれなくて売却ということもありました。最近は魅力的なコンテンツを配信するなど、かなり企業のビジネスらしくなってきています。

南場さん ベイスターズもDeNAが取得する前はかなり大きな赤字を出している球団でしたが、経営努力を重ねて黒字が出るようになりました。かつ、独自のコンテンツを持っていることが非常に強くて、グッズなどいろんなものとの掛け算が効きます。

ベイスターズ×ハイセンスジャパンの「ハマスタバトル」話題に...協賛認知度19%を達成

――スポーツをビジネス化していく中で、スポンサーとの協業のありかたをどう考えていますか。

南場さん まずたくさんの人に来てもらうことがベースだと思うんですよね。そのうえで広告価値を高めて、広告主と連携する。スポンサーは価値のあるコンテンツを一緒につくりあげていくパートナーでもあります。ハイセンスとは多くの取り組みを一緒にさせていただいていて、たとえば「ハマスタバトル」も。
李 文麗さん そうですね。ピッチャーマウンドの広告や、イニング間にファンとオフィシャルパフォーマンスチーム「diana」がリレー対決するイベント「ハマスタバトル」など――ベイスターズから提案いただいた施策が話題になり、スポンサー初年度に協賛認知度19%を達成できました。
調査会社のBCNによりますと、2023年には日本での薄型テレビ販売のシェアがソニーを抜いて初めて3位に浮上し、認知の広がりを実感しています。
南場さん そう言っていただけることが、なによりもうれしいです。この1年の取り組みはまだまだ序の口。野球というコンテンツをファンや地域のためにもっと面白くするための相談ができる関係を持たせていただいていることがすばらしいと思っています。

―― ハイセンスは2大会連続でサッカーW杯の公式スポンサーになるなど、グローバルでも大きなスポーツプロジェクトに関わっていますが、日本ならではの特徴はありますか?

李さん グローバルでは人気スポーツやチームのスポンサーになることでハイセンスのブランド認知度が向上しています。ベイスターズのスポンサーについては、認知度だけでなく、好感度や地域との関係にいい影響があると感じています。
ハイセンスジャパンのSNSアカウントにベイスターズファンからのコメントがついたりするんです。そういうことは過去にありませんでした。ベイスターズという共通の話題を通じて消費者と直接交流し、親近感が高まっていることはとてもうれしいです。

―― 社内での共通の話題にもなっているそうですね。

李さん 日本人従業員の中には子どものころ野球をやっていた人がたくさんいるので、スポンサーになったことで、まず私と彼らとの共通の話題が増え、距離が近づいたように思いました。
中国では野球がメジャーでないので、中国人従業員にとって最初はプロ野球の仕組みや詳細なルールが理解しにくかったのですが、勝ち負けや順位は明快なので(笑)、シーズンが進むにつれ、みんなで試合を観に行くことが増えました。
南場さん 社内交流、国際交流にも役立っていてうれしいですね。

地域の人やスポーツのファンが「居合わせる」場所づくりを進めたい

―― スポーツを地域のコンテンツにする上で、DeNAは「球場」「試合」以外での取り組みも進めています。

南場さん 横浜スタジアムは横浜のど真ん中にあるのですが、プロ野球の試合があるのは年間365日のうち70日くらいです。だから試合を安全に楽しんで観戦していただくことの次に大事なのが、試合がない日にスタジアムをどう盛り上げるかだと考えています。
私たちはJR関内駅前の横浜市旧市庁舎街区活用事業に参加しており、常設型「ライブビューイングアリーナ」をつくって、音楽や飲食等も楽しめる新たなエンターテイメント空間をつくります。
2026年が街開きなのですが、巨大スクリーンでスポーツを観ながら食事も楽しんで、スポーツのデライトをスタジアムから街にしみださせたいですね。

―― ビジネスとして成り立たせるのと、地域を元気にすることの両方を追求していくのですね。

南場さん バスケのBリーグでも、川崎ブレイブサンダースのホームアリーナとして京急川崎駅に隣接する土地にアリーナを建設し、ホテルなどを併設した複合商業施設を2028年にオープンする計画を立てています。
地域の人やスポーツのファンが「居合わせる」場所づくりを進めたい。そのなかで、スポンサー企業さんとの協業も広がっていくのではないかと期待しています。

【プロフィール】

南場 智子(なんば・ともこ):株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長 1986年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。1990年、ハーバード・ビジネス・スクールにてMBAを取得し、1996年、マッキンゼーでパートナー(役員)に就任。1999年に株式会社ディー・エヌ・エーを設立し、現在は代表取締役会長を務める。2015年より横浜DeNAベイスターズオーナー。2019年デライト・ベンチャーズ創業、マネージングパートナー就任。著書に「不格好経営」。

李 文麗(り・ぶんれい):ハイセンスジャパン代表取締役。1972年生まれ、中国・青島出身。1995年、青島大学電子工学科卒業、Hisense国際有限公司入社。 2001年にHisense USA、2003年にHisenseオーストラリア、2007年にHisenseヨーロッパ、2011年にHisense韓国事務所。2011年、ハイセンスジャパン代表取締役社長・CEOに就任。

【筆者プロフィール】

浦上 早苗(うらがみ・さなえ):経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。新聞記者、中国に国費博士留学、中国での大学教員を経て現職。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。

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