「テレビ局に来るのが大好きで２４時間でもしゃべっていられる」所ジョージ、一番緊張するのは娘の視線

最後までとらえどころのない調子で語った

　日本テレビ系「所さんの目がテン！」（日曜午前７時など）が１０月で放送開始から３５周年を迎えた。数々の賞を受賞してきた科学バラエティーの老舗番組。それでも当初から進行役を務める所ジョージ（６９）は、「その日を一生懸命暮らすのがやっとで、あんまり振り返んないですよね」と、いつもながらの調子でひょうひょうと語った。（文化部　小林直貴）

「所さんの目がテン！」３５周年

　番組は、１９８９年１０月１日にスタート。身近なテーマに科学の視点から迫る３０分枠の教養番組として人気を呼び、環境保全や動植物保護などにも貢献。科学番組関連の数々の賞を受賞してきた。日テレで１０月６日放送の３５周年スペシャルで、１７４５回目の放送となる。

　番組のテーマは、身近な生活の話題から海外特集まで多岐にわたる。たとえば、初回は「住んで不思議！超高層」と題し、超高層ビルの３０階と４階の生活環境の違いを検証。３０階は「洗濯物がよく乾く」「空気が澄んでいる」「ハエや蚊は自力では上がってこられない」との結論に達した。ほかにも、「成層圏で生のアジは干物になるか」などの壮大でユニークな実験企画に加え、屋久島特集、動物病院、スイカの謎、失敗しないサンドイッチの作り方など、ありとあらゆる幅広いテーマを扱ってきた。

里山環境改善の現場も訪問

　６日放送分の収録では、冒頭で初回放送時のＶＴＲが流され、所は「いろんなことやってますね」と、懐かしそうにつぶやいた。さらに１０年前から続く長期実験企画「かがくの里」が紹介され、茨城県内で取り組む里山再生の歩みを振り返った。

　収録後の取材会で３５周年の感想を聞かれた所は「長いこと、日テレで仕事してるなと思いました」と語りつつ、「その日を一生懸命暮らすのがやっとで、きょう何か面白いことあんじゃないかなって飢えてるんで。楽しいことに飢えてるんで、あんまり（過去は）振り返んないですよね」と、独自の哲学を披露しながら淡々と話した。

　「かがくの里」は、科学者の専門的知見と地域住民の協力を得て里山の環境を改善させ、生き物の生態系の保全などにも役立っている。コメや野菜など様々な農作物を栽培し、秋の収穫祭で絶品料理に仕上げて自然の恵みを味わう。所も度々現地を訪れている。企画を支えてきた地域住民へのメッセージを求められると、「支えていただいたっていうよりも、あの人たちが全部やってくれています。毎日、畑見て、井戸水加えて」と感謝の気持ちを表した。

カンペ、いっさい読まず「借りを作るのも嫌」

　番組が長く続いている理由については、「日曜朝７時っていう時間帯もありますよね」と語り始め、「まだ皆さんの目がボーッとしているときに放送している。起きてるの、どうなのっていう。テレビの音が朝ご飯作ってる水道の音に消されてんじゃないの？みたいな。その感じがちょうどいいんだと思う」と分析する。さらに「内容は全部、いい情報なんで、そこが魅力だと思いますよ。ちょっと耳に入ってくるものがいい情報として残るっていうね。それが皆さんにとってレギュラーな感じになっているんじゃないですかね」と核心を突いた。

　「僕、どの番組も全て刺激受けますよ。楽しいですよね。テレビ局に来るのがもうすごい好きなんですよ、楽しくて。一番緊張するのは自分家（ち）じゃないですかね。娘の目線とか、親としての立場とか。一番緊張しますね」と笑わせる。

　収録中、所は「カンペ」を一切読んでいなかった。「たぶん（放送）作家が書いたものに従いたくないだけだと思う。借りを作るのも嫌なんだよね。決められたものを言ってくのが自分じゃないんで。つまんなくなっちゃうんですよ。だから大体のところで流れていけばいいなと。ずっとそうですよね。ほかの番組でもそうですよね。１時間、２時間は世間話できますからね、僕は。『２４時間しゃべってろ』って言われたら、ずっとしゃべってますからね」

「自分が笑えているうちはね、やりますよ」

　来年で７０歳。この番組以外にも長寿レギュラー番組をいくつも持ち、幅広い世代から支持を集める。番組が長続きする秘訣（ひけつ）は「そのときのニュース性のあるものにしがみついちゃうと、そのニュースと一緒に終わっていく。スタンダードな疑問みたいなものを問い続けるのがいいのかなと思っています」と語った。

　それでは何歳まで続けるのだろう？　

　「さすがに調子悪くなったらやめますよ。息も絶え絶えで、心配されてまでやりたくない」と笑わせつつ、「自分が笑えているうちはね、やりますよ。元気なうちはやりますよ」と意欲を見せた。