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石破内閣発足 早期解散で国民に何を訴える

読売新聞 / 2024年10月2日 5時0分

◆党内基盤の脆さを克服できるか◆

 異例ずくめの船出である。首相就任前に衆院解散・総選挙の断行を表明するのは前代未聞だ。

 石破首相が「衆院選は国会論戦を経てから」というかねての主張を翻し、一刻も早い解散にかじを切ったのは、自民党の主張を受け入れたものだ。政権運営の主導権が官邸から党へ移行する予兆が見て取れる。

 首相は衆院選で、連立を組む自民、公明両党の安定多数の確保を目指すことになる。国民が判断しやすいよう、選挙戦を通じ、政権の掲げる国家像や具体的な政策を明確に打ち出す必要がある。

◆官邸主導から党主導へ

 衆参両院での首相指名選挙を経て、石破茂氏が第102代首相に就任し、内閣を発足させた。

 人口減少や安全保障環境の悪化など、国内外の課題への対応は急務だ。首相は様々な難題の解決に向け、総力を挙げて取り組まなければならない。

 首相は、内閣の要となる官房長官に林芳正氏を再任したほか、財務相に加藤勝信氏を起用した。両氏とも閣僚経験が豊富で、安定感を重視したものだ。

 自民党役員人事でもベテランを登用し、幹事長に森山裕氏、総務会長に鈴木俊一氏を充てた。副総裁に菅義偉氏、最高顧問に麻生太郎氏という2人の首相経験者を要職に就けたのは、党内の重しとしての役割を期待したためだ。

 一方、19人の閣僚中、初入閣は13人で、無派閥は10人に上った。派閥の意向に沿った従来の組閣の手法と一線を画している点でも、異例と言えるだろう。

 今回の人事で浮き彫りになったのは、首相の党内人脈が極めて限られている点だ。

 総裁選で首相を推薦した20人のうち、6人が入閣した。自らに近い議員をこれほど登用したのは、単に論功行賞という意味だけでなく、首相と接点のある議員が少ないためだ、との指摘がある。

 また、岩屋毅外相、中谷元防衛相、小野寺五典党政調会長はいずれも防衛相経験者という点で首相と共通しており、仲間の議員だ。首相が政務秘書官に選んだのも、防衛相時代の秘書官だった。

 だが、今回の人事で挙党態勢を築けたとは言えない。100人近くに上る旧安倍派の議員は、閣僚や党四役に起用しなかった。

◆挙党態勢には程遠い

 長く非主流派だった首相としては、森、小泉、安倍、福田の4首相を輩出した清和政策研究会(旧安倍派)が党運営を主導する体制に、終止符を打つ狙いがあったとの見方が出ている。

 仮に旧安倍派の議員の多くが次期衆院選で敗れ、自民、公明両党が過半数を割り込むようなことになれば、石破政権は瓦解しよう。党内融和をいかに図るかは、首相の課題として残った。

 首相は、衆院選前に国会でしっかりと論戦を行う考えを示していたが、森山幹事長らの進言を受け、衆院選を「10月15日公示―27日投開票」で行う考えを表明した。首相就任から8日後の解散も、26日後の投開票も戦後最短となる。

 新内閣に対する国民の期待感が高いうちに信を問うという狙いのようだが、首相の大権である解散権が、党側にあるかのような印象を与えたのは事実だ。

 首相の党内基盤はもろく、今後も党主導で政策や政局が決まっていく可能性がある。

 不安定な状態でスタートした政権を軌道に乗せられるかどうかは、首相の力量次第だろう。

 日本周辺の安全保障環境は極めて悪化している。中国は海洋での覇権的な活動を強め、日本を威嚇している。弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮、日本の領空を侵犯し、主権を脅かすロシアの脅威も軽視できない。

◆国際情勢への対応急務

 ウクライナ戦争や中東の紛争は長期化し、国際秩序をどう立て直すかは待ったなしの課題だ。

 首相は衆院解散後、ラオスで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席し、初の国際会議に臨む予定だ。

 先進7か国(G7)の一角で、経済大国の日本の新しい首相が何を表明するか、注目を集めることは間違いない。

 首相は、明確な外交方針に基づき、秩序の回復に向けて日本が果たす役割を語るべきだ。

 実質賃金が2か月連続でプラスとなるなど、経済指標は上向いているが、生活が豊かになっているという実感は乏しい。

 成長をどう実現するかは重要な課題だ。財政再建に道筋を付けることも欠かせない。経済財政政策は衆院選の争点となるだろう。

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