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大豆イソフラボン入り餌でオスがメスに…愛知県がブランド化した「葵うなぎ」は冬が食べごろ

読売新聞 / 2025年1月11日 13時16分

ウナギを選別する一色うなぎ漁業協同組合の職員(愛知県西尾市で)

 愛知県が生産技術を開発し、2024年にブランド化した「葵うなぎ」の出荷が最盛期を迎えている。西尾市の養鰻ようまん業者らが育成に力を入れていて、開発した飼料を与えると、全てがオスより大型で身が軟らかいメスになるのが特徴だ。県の新たな特産品として期待されるが、知名度不足をはじめとした課題が横たわっている。(河野圭佑)

 「軟らかくてモノがいい」「青みがかっていて良質」。昨年12月23日朝、西尾市一色町の一色うなぎ漁業協同組合にいたベテランのウナギ仕分け人らが口をそろえた。この日は組合の事業者から3トンが入荷し、330グラム以上などの基準を満たす葵うなぎを十数人の職員らが選別していた。

 県によると、通常、養殖ウナギの9割以上がオスになる。オスは300グラム以上に成長すると身が硬くなって味が落ちるため、250グラムまでに出荷されることが多いという。これまでもメスの方が身や皮が軟らかく育つことが分かっており、県水産試験場が大豆イソフラボンを餌に混ぜて稚魚のシラスウナギにやったところ、全てメスとして育ったという。県や同組合などは、開発した新技術の特許を21年に取得し、量産化に取り組んでいる。

 葵うなぎは「あいちの」「おおきな」「おいしいうなぎ」にちなみ、「三つ葉葵」が家紋の徳川家康にあやかって命名された。

 ウナギは「土用のうしの日」がある夏に出荷のピークを迎え、冬以降に出回るウナギは成長しすぎて質が下がるとされている。そこに、じっくり大きくなるまで育てる葵うなぎが、この時期に多く出荷されるため、年中おいしいウナギが食べられるようになった。

 ただ、いいことずくめではなく、知名度不足による需要や育成のコスト、その大きさに対して、漁業者から心配の声も上がっている。葵うなぎのための特殊な餌は「通常の2割高」といい、物価高による餌代高騰も加わる。育成期間も長く、管理費、人件費も重くのしかかるが、価格に転嫁できていないという。

 ある漁協関係者は「需要はまだ低い上、うなぎ店が使っている丼のサイズになじまなかったりする。結局、大きく育てるコストとリスクが見合わないため、通常サイズで出荷するケースもある」と指摘する。

 県は、多くの人に新ブランドを知ってもらおうと、試食イベントなどを実施。25年度予算案にPR事業費約150万円を計上し、知名度向上を図りたい考えだ。県の担当者は「生産量は全国2位だが、隣県の浜名湖に知名度が負けている。新ブランドを通じて、県内のウナギ人気をもっと高めたい」と話している。

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