オンライン診療、公民館や駅中など身近な所で受けやすく…拡大や安全性向上へ法令基準
読売新聞 / 2025年1月23日 15時0分
厚生労働省は、情報機器に不慣れな高齢者らが、公民館や駅の中など身近な場でオンライン診療を受けやすくする体制づくりに乗り出す。診療所の開設許可がなくても、受診施設として届け出れば、オンライン診療を受ける場として認める。一方、診療の法令基準を設け、医療機関に対し順守を義務化して安全性の向上を図る。24日に召集される通常国会に医療法改正案の提出を目指す。
スマートフォンやパソコンの画面越しに行うオンライン診療は、新型コロナウイルスの流行を契機に広がっている。厚労省によると昨年10月現在、医療機関の1割にあたる約1万2500か所で対応している。
患者の通院の負担が減るだけでなく、地方の患者が、都市部に集中する専門医の診察を受けることも容易になる。医師偏在の対策として注目される。
厚労省は今回、公民館や郵便局、駅の中などで、オンライン診療を受けられる新たな仕組みをつくる。施設は、都道府県に届け出た上で個室や仕切りで患者のプライバシーを守れるスペースを設けるなど体制を整える。診療を担う医療機関は、施設の体制をチェックし、患者の急変時に受け入れる近隣の医療機関を確保する義務を負う。
現在、公民館などの施設がオンライン診療に対応するには、都道府県から診療所の開設許可を受ける必要があり、ハードルが高い。許可が不要になれば対応する施設が増え、高齢者らが施設の職員らの助けを借りて、オンライン診療を受けやすい環境が整う。働き盛りの世代が、移動の合間に施設に立ち寄って受診することも可能となる。
また、オンライン診療を行う医療機関の届け出制度を創設、現行の指針を踏まえて法令基準を定める。基準には、医師と患者がお互いに身分証明書を示し、本人確認を行うほか、効果や副作用に応じた薬の処方、急変時に対面診療できる体制を盛り込む。
違反の疑いがあれば、都道府県が調査、改善命令を出せるようにする。従わない場合の罰則も検討している。
2024年夏、厚労省の有識者検討会で、医師でない職員が美容医療のオンライン診療を担った疑いがある事例などが報告され、安全対策の強化が求められていた。
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