コロナ対策「武漢市民の不信」…ロックダウンから5年、今も情報統制「相変わらず都合悪いことは隠す」
読売新聞 / 2025年1月24日 6時40分
2020年に新型コロナウイルスの感染が広がった中国湖北省武漢でロックダウン(都市封鎖)が行われてから、23日で5年となった。中国政府はコロナの拡大を防げなかった反省から伝染病防止法の改正を進めているが、市民の反応は冷ややかだ。(上海支局 田村美穂)
武漢では19年12月、医師の
李氏が注意喚起を行ったSNSは今も閉鎖されておらず、現状を嘆く人たちが投稿で不満を表明する場となっている。今月3日には男性が「真実は証明された。李先生への謝罪はないのか」と当局を批判した。
武漢市民の当局への不満も、依然として残る。タクシー運転手の男性(44)は当時を振り返り、「政府が李氏の話を聞いていれば、あれだけの惨状にならなかった」と訴える。
コロナに
初期に感染者が集中した武漢市内の市場は閉鎖され、郊外に移転した。
中国政府は、新型コロナの感染拡大を防げなかった反省から、04年以来となる伝染病防止法の大規模な改正を検討している。原因不明の感染症の疑いを察知した際、一般市民や医師らが速やかに関係機関に通報することを奨励するといった内容が盛り込まれた。
李氏の注意喚起を生かせなかった対応を改善する意図があるとみられる。早ければ3月の全国人民代表大会(全人代)で改正内容が決まる見通しだ。
伝染病防止法は、上海でA型肝炎が流行した翌年の1989年に制定され、感染症を分類して管理することや流行状況の発表制度を整備した。2004年に前年の「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の発生を踏まえ、肺炎を分類に入れるなどの改正が行われた。
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