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アングル:中国投資家の「不動産愛」に変化、株や債券にシフト

ロイター / 2021年11月21日 8時10分

11月16日、不動産関連投資への愛着が強い中国の投資家が、長年の慣習を脱して株式など他の資産に資金を移している。深センにある佳兆業集団の営業拠点で10日撮影(2021年 ロイター/David Kirton)

[上海 16日 ロイター] - 不動産関連投資への愛着が強い中国の投資家が、長年の慣習を脱して株式など他の資産に資金を移している。当局が不動産セクターへの取り締まりを強めたからだ。

不動産開発大手、中国恒大集団の債務危機が深刻化した9月以来、信託会社が発行する不動産投資商品への資金流入は落ち込んだ。

不動産開発企業は国内で厳格な融資規制に遭い、国外の債券市場では借り入れコストが過去最高水準に上昇。投資家からの資金流入は、残る数少ない資金調達ルートの1つだったが、それが断たれようとしている。

「かつての投資の鉄則が崩れてしまった」と語るのは、上海のビジネスマン、デズモンド・パンさん。不動産投資信託につぎ込んでいた数百万元を、ヘッジファンド会社ブリッジウォーターの中国マルチアセット型ファンド「オール・ウェザー・エンハンスト・ストラテジー」に移そうかと思案中だ。

ブリッジウォーター創業者で大富豪、レイ・ダリオ氏の笑顔が載ったパンフレットをめくりながら、パンさんは年率リターン19%のこのファンドなら代わりの投資先にふさわしいと考えている。

中国の投資家は長年、不動産投資商品を愛好してきた。しかし政府が2017年にシャドーバンキング(影の銀行)を取り締まり始めて以来、こうした商品への資金流入は縮小傾向に。中国恒大が今年9月、理財商品でデフォルト(債務不履行)を起こし、多くの都市で投資家が抗議した一件が、この傾向に拍車をかけた。

中国受託者協会によると、不動産に投資する信託資金は6月末時点で2兆1000億元(3293億ドル)と、前年比17%減少。対照的に、債券や株に投資する信託商品は35%増の2兆8000億元となった。

<高まるリスク>

資金移動は足元の数カ月間で加速している。ユーズ・ファイナンス・アンド・トラスト・リサーチ・インスティテュートによると、不動産関連信託商品の資金調達は、9月に前月比38%、10月には同55%、それぞれ減少した。

申萬宏源のFoFマネジャーは「このごろは不動産関連の信託商品が売れない。顧客はリターンが比較的安定したファンド、例えばファンド・オブ・ファンド(FoF)やクオンツ・ファンドへの資金移動を強化している」と話した。

最近中国でマルチ戦略ヘッジファンドを立ち上げたレイリアント・グローバル・アドバイザーズのジェイソン・シュー会長は「中国政府の政策は、不動産からの資金移動を後押ししている。これは資産運用業界にとって間違いなく朗報だ」と言う。

上海iファンド・アセット・マネジメントのパートナー、シー・クー氏も「不動産投資商品には慎重になる必要がある。デフォルトのリスクは高まっている」と語った。

シティ・セキュリティーズによると、中国のクオンツ・プライベート・エクイティ・ファンドの規模はここ数カ月で1兆元(1546億ドル)に達した。これは2017年の約10倍だ。

中国恒大のデフォルトや佳兆業集団の資金繰り危機以来、不動産投資は信託商品だけでなく、銀行や独立系資産運用企業を通して販売される理財商品も打撃を被っている。

不動産に特化した資産運用会社の幹部は、不動産開発企業の社債から資金が流出してハイテク・新エネルギー関連の株式にシフトする流れは不可逆的だと語る。

中国国際金融(CICC)の資産運用サービス責任者、リアン・ドンチン氏は10月の会合で、中国家計のバランスシートにおいて不動産は今後とも最大の構成要素であり続けるとした上で、不動産の強気サイクルを引っ張ってきた人口動態と流動性は消え去ったとの見方を示した。

「今も不動産にとどまっている顧客資産の一部を、中国の将来の経済成長を享受できる資産に再配分するよう導くことは、資産運用会社にとって今後10年間で最大のチャンスになる」とドンチン氏は語った。

(Samuel Shen記者 Vidya Ranganathan記者)

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