改憲論議、仕切り直しへ=石破首相曖昧、立民ペースに
時事通信 / 2025年1月8日 19時28分
24日召集予定の通常国会で、憲法改正論議が仕切り直しとなる見通しだ。自民、公明両党が過半数を割った昨秋の衆院選を受け、厳しい政権運営を強いられる石破茂首相(自民総裁)は改憲の優先順位が曖昧。積極的に関わってきた与党側の中心メンバーも交代した。議論のペースは衆院憲法審査会長ポストを獲得した立憲民主党が握りつつある。
「令和の日本列島改造」として地方創生を最重要政策に掲げた首相の6日の年頭記者会見。対照的に改憲への言及は皆無だった。先の臨時国会の所信表明演説では「衆参両院の憲法審での建設的な議論を期待する」と無難な内容にとどめた。
少数与党の下では、予算案や法案の成立が見通せない。9条改正を持論とする首相だが、国論を二分しかねない改憲には深入りを避けたいとの思惑が透ける。
国会発議には衆参で3分の2以上の賛成が必要。衆院では310議席だが、「緊急事態条項」創設などに前向きな自公と日本維新の会、国民民主党といった「改憲勢力」は選挙の結果、これを下回ることになった。
加えて岸田政権で改憲に関する党内外の調整に当たった中谷元、加藤勝信両氏が閣僚に就任。公明党の北側一雄氏は議員を引退した。
自民の憲法改正実現本部は昨年9月、与野党各党と改憲案の条文化作業に入るための論点整理を了承したが、肝心の推進役を欠いた格好だ。「改憲は難しくなった」。保守派のベテランは党内の熱量の低さを認める。
こうした状況を横目に国会論議の仕切りに意欲を見せるのが、衆院憲法審会長に11月に就いた立民の枝野幸男元代表だ。改憲に反対の党派にも配慮する議事運営ルールを確立した故中山太郎元外相(自民)の「直弟子」を自任する。
12月にさいたま市で開いた会合で「良く変えるための議論をするのが私の仕事。積極的に進めていきたい」と強調。「合意形成できそうなテーマはある」とし、それに関する討議を各党に呼び掛けていると明かした。
もっとも、12月19日に枝野会長の下で初めて開かれた衆院憲法審では、緊急事態条項創設など従来の主張を繰り返す自民や維新などに対し、立民は選挙妨害と表現の自由に関する議論を進めるよう訴え、隔たりは埋まらなかった。「これまでの議論がゼロになりかねない」。自民が主導権を失いつつある現状に党関係者は焦りをにじませた。
[時事通信社]
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