中銀デジタル通貨が作る決済システム、世界の標準になる可能性=日銀理事
ロイター / 2021年3月26日 19時32分
3月26日、日銀の内田眞一理事は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する連絡協議会の開会あいさつで「将来、CBDCを1つの要素とする決済システムが世界のスタンダードとなる可能性は相応にある」と指摘した。写真は日銀本店、2015年5月撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 26日 ロイター] - 日銀の内田眞一理事は26日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する連絡協議会の開会あいさつで「将来、CBDCを1つの要素とする決済システムが世界のスタンダードとなる可能性は相応にある」と指摘した。CBDCの設計には決済の主要な担い手である民間事業者との「密接な対話」が必要だと語った。
日銀はCBDCについて、政府や民間事業者との連絡協議会を立ち上げ、同日に初会合を開いた。日銀は現時点でCBDCを発行する計画はないものの、昨年10月に取り組み方針を発表して実証実験に向けた準備を進めてきた。日銀は協議会で、4月に第1段階の実証実験を始める予定だと説明した。
日銀が公表した説明資料によると、第1段階の実証実験は来年3月までの1年間を想定。日銀当座預金と引き換えに行うCBDCの発行、仲介機関からの払い出し、ユーザー間の移転、ユーザーから仲介機関への受け入れ、日銀への還収といったCBDCの基本的な機能を中心に検証する。
取引を記録する台帳について、運営を日銀が行うのか仲介機関が行うのか、金銭データにIDを付与するかしないかによって3パターンの基本設計を構築し、相互に比較検討する。
日銀は第1段階の実証実験の目的が達成され次第、オフラインでの決済など追加的な機能の実現可能性を検証する第2段階の実証実験に移行する。さらに必要と判断すれば、民間事業者や消費者が実地に参加する形でのパイロット実験を行うことの要否を検討する。
さらに、民間事業者や法律の専門家、関係当局などと協力して、CBDCの保有額や利用限度額、付利の考え方など制度面での検討も進める方針。
<現金・他の決済手段との共存模索>
内田理事は、協議会の開会あいさつで、データの利用範囲をプライバシーとの関係でどのように決めていくかは各国がデジタル社会と向き合っていく際の基本的なルールだとも指摘。今後のCBDCの具体的なデザインに「大きく影響してくる」と述べた。
一方で、現在も現金が物理的に「適度に不便」であることが預金やその他の決済サービスとの適切なすみ分けを可能にし、全体として便利さと安全性のバランスが図られているとし、「CBDCのある世界においても、こうした役割分担は必須だ」と語った。
協議会のメンバーは全国銀行協会、電子決済等代行事業者協会、フィンテック協会などの団体のほか、金融庁の政策立案総括審議官、財務省の理財局担当審議官、日銀の決済機構局長で構成。次回は9月以降の開催を予定している。
(和田崇彦 編集:内田慎一)
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