1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

アングル:「生活が止まった」、ロードス島山火事で全て失った住民

ロイター / 2023年7月27日 16時39分

 7月25日、焼け焦げて黒くなった建物の外に立ち尽くし、ディミトリ・ハジフォティスさんは悲嘆に暮れていた。写真はキオタリでホテルを経営するレフテリス・ラウディコスさん。ギリシャ・ロードス島で撮影(2023年 ロイター/Nicolas Economou)

Fedja Grulovic

[ロードス島(ギリシャ) 25日 ロイター] - 焼け焦げて黒くなった建物の外に立ち尽くし、ディミトリ・ハジフォティスさんは悲嘆に暮れていた。ギリシャの観光地ロードス島を襲った山火事により、経営していたレストランを失った。

「生活が止まってしまった」とハジフォティスさんは言う。

「すべて、炎に奪われてしまった」

海岸沿いの町ゲンナジーに建つレストランのキッチンは全焼。付近では、積み重なった皿が灰やがれきに覆われていた。

エーゲ海に浮かぶこの島で発生した火災は1週間以上燃え続けている。観光客など2万人以上が週末にかけて、焼けるような暑さの中避難を余儀なくされた。不気味なオレンジ色の夜空が広がる中、人々は徒歩や船で島をあとにした。

炎は樹木を飲み込み、車を焼き、住宅やホテルにも被害を与えた。路上には動物の死骸が転がったままだ。

ギリシャ国営放送のERTは島全体のおよそ10%が燃えたとしているが、正確な被害規模はまだ分かっていない。

ギリシャの他の島と同様、仕事や収入のほとんどを観光事業に頼っているロードス島住民にとって、この山火事は深い傷跡を残している。

「レストランと農業、二つの仕事をかけ持っていた。持っていたすべての土地が、いまや何の価値もない。一面真っ黒だ」とハジフォティスさんは嘆く。昨冬、レストランの改修を済ませたばかりだった。

「どこから始めればいいのかもわからない。レストランを再建するために行動を起こす資金もない」

ギリシャのミツォタキス首相は議会で24日、同国が「戦時下にある」と発言。制御困難な火災が猛威を振るう中、焼失した建物の再建や、ロードス島をはじめとする各地の火災で被害を受けた人々への補償を約束した。

「大きなことは期待していないが、(補償を)待っている」とハジフォティスさん。

「ただただ、火を止めてほしい。これ以上、他の家屋やレストラン、野原が燃えることがないように」

夏季の山火事はギリシャでは珍しくない。だが、同国は数週間にわたって記録的な高気温に見舞われ、火災が広がりやすい状況になっていた。熱波は今週も続くとみられ、一部地域では気温が44度に達すると予測されている。

24日以降、2000人以上の旅行客が航空便で帰国した。残された島民は復興への長い道のりをたどることになるだろう。

小さなホテルを家族で営むレフテリス・ラウディコスさんは、山火事によって観光客の足が遠のくのではないかと懸念する。

島東部の海岸沿いの町キオタリ地区にあるラウディコスさんのホテルは、火災で損壊した。家財を守るため、父親やいとこら4人が近くの貯水槽を使って懸命な消火作業を夜通し続け、助けを待った。ラウディコスさんはこう振り返った。

「孤軍奮闘するしかなかった」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください