人として「豊か」になるため、世の中の流れをニュースで知るのは当然 「ちょうどいい」接し方選んで、整理収納アドバイザーEmiさん
47NEWS / 2024年10月15日 10時0分
人として「豊か」になるために、世の中の流れを、ニュースを通じて知っておくことは当然だと思っている。会社員時代は、取引先との会話の糸口になった。今は、経営者としてアパレルや暮らしに関する情報を収集したり、発信者として社会の機運や受け取り手の気持ちを理解したりする。
× × ×
10月15日からの1週間は毎年秋の新聞週間。新聞を始めとしたニュースとの付き合い方について、就職や子育てで暮らしが変わるのに合わせ、自分に「ちょうどいい」情報収集法を選んできたという、整理収納アドバイザーのEmiさんに聞いた。
▽取引先との会話のために
取材に応じるEmiさん
2004年、通信販売会社に入社した。暮らしにまつわる商品を扱う通販サイト「ベルメゾン」を運営する会社で、商品企画を担当。取引先は家具を作る会社や職人が多く、40~50代の男性とやりとりをすることが多かった。
どうしたら、会話をスムーズに進められるのか。会社に何紙かそろえられていた新聞をジャンルを問わずに読んだ。社会情勢を知るため、鉄の市場価格や株価など何でも吸収した。企画につながるようなニュースや読んで興味を持ったニュース記事を切り取り、「どう思うか」「何が考えられるか」と自分の意見とともに、ノートに切り貼りした。
この習慣が結実したのが、提唱している「マイノート」だ。
▽「心の貯金通帳」
マイノート(Emiさん提供)
マイノートを始めたのは会社員時代の2004年だ。仕事に関することやプライベートに関すること全てを1冊のノートに記すことで自分軸が見えるという発見があった。自分の心を動かしたものやこと、考えがどこかに行ってしまわないよう、「心の貯金通帳」として書き留めた。
20年たった2024年9月時点では75冊になった。
▽片耳「ながらニュース」がちょうどいいことも
2008年、結婚から2年が過ぎ、「新居のインテリアや収納を夫婦の記録として残したい」と思ったことをきっかけに、ブログ「OURHOME」を開設した。その後、双子の出産・子育てを機に会社を退社した後は、暮らしに関する商品を企画販売する会社を運営する。音声メディアVoicyで自身のラジオコーナーを持ち、交流サイト(SNS)やブログでの発信も続ける。
会社員から双子の母に、経営者に。時の流れとともに生活スタイルは変化し、ニュースとの関わり方も変わった。子どもがまだ小さく、子育てに追われていた時は、新聞の一面だけをざっと読んだ。「子育て中は社会に置いて行かれる感覚があった」から、社会や世間の動きに触れるため、ニュースが必要だった。
「こんな世界があったんだ」と価値観を変えたのは、音声配信サービスでのニュースだった。Voicyで日経新聞や毎日新聞が配信するニュースを毎日10分聞く。片耳にイヤホンを付けて家事をしながらや通勤中にも。家事や仕事に追われる今は、片耳での「ながらニュース」がちょうどいい。
▽「本当にそうかな」と考える癖を
撮影に応じるEmiさん
子どもが3、4歳になったころからは、自身の習慣であるマイノートを一緒にやっている。最初は自分が書く時間を取るために「一緒にやろう」と提案していたが、中学3年生になった今でも続いている。子どもたちはシールを貼ったり好きな言葉を書いたり。「好きを集めるノート」として、現在は部活に関することが多い。
実家では新聞を購読し、卓上に置いてあることで会話が広がった。現在は、スマートフォンを1人1台持つようになり、主な情報収集はネットニュースに。気になったニュースを家族のグループLINE(ライン)で共有し、夕食時に話題にする。テスト前の時事問題対策のみでなく、良いニュースも悪いニュースも見ることで、危機管理能力を育てるのに役立つと考えている。
ニュースには、学校では教えてくれないことも、学校での学びにつながることも載っている。「意見を言うのが怖くない世界にしたい」と何でも自分の意見を話し、話せる環境をつくるようにしている。
情報収集の方法に変化はあったが、信頼できる発信元かどうか確認するのは欠かさない。ネット上には、フェイクニュースと言われる信ぴょう性が定かでないニュースもはびこる。災害時などの混乱した際にはデマも拡散される。そんな現代でも、常に自分というフィルターを通じて「本当にそうかな」と考える癖を日頃から身に着けていれば、流されることはない。そのためにも配信元を見て、考え、調べることを大切にしている。
ネットニュースでも気になった記事はスクリーンショットで取り置きし、時間のある時に印刷してマイノートへ。習慣に変わりはない。
▽メディアには
取材に応じるEmiさん
男性が外で仕事をして女性が家庭で家事をする。女性が朝食を用意している間に男性が、机で新聞を思いっきり広げて読む。一昔前はそんな日常があった。でも今は、働き方も生活も人によってさまざまだ。
高齢者用に字を大きく、子どもに持ちやすいよう紙面を小さく。かばんに入れて持ち運びやすい新聞があってもいい。「これです」と決まった形のみを押しつけるのでなく、新聞も多様でいい。音声も、好きな声や頭に入りやすい声は人それぞれ。字体もそうだ。選択肢が増えることや選べることが大事だ。
情報の確かさや信頼性は今も変わらない。足を運んで話を聞き、多様なコンテンツを提供する新聞発のニュースへの信頼は大きい。凝り固まることなく選択肢を増やし、新聞を読むと、どのように役立つのか伝えることが、新聞が生き残る道だと思う。
〈Emiさんの略歴〉
1981年生まれ。兵庫県出身。暮らしにまつわる情報発信とオリジナル商品の企画販売を手掛ける「OURHOME」を運営する。2022年から音声メディアVoicyで「暮らす働く“ちょうどいい”ラジオ」を配信。近著に「今日から変わる わたしの24時間」(大和書房、24年)がある。中学3年の双子の母。
※この記事は、日本新聞協会と、共同通信をはじめとする加盟社による共同企画です
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