ダイエット効果目的の漢方薬、「飲み続けると肝臓に悪い」って本当？【漢方薬剤師が解説】

代謝を向上するはたらきのある漢方薬の防風通聖散（ぼうふうつうしょうさん）。しばしば「ダイエット効果のある漢方薬」として挙げられます。本記事では防風通聖散の効果や服用に際しての注意点を中心に解説します。

Q. 「防風通聖散」を飲み続けるのは、肝臓に悪いのでしょうか？

Q. 「昔から便秘気味の体質で、2年ほど前からダイエット効果もあるという『防風通聖散』を飲み続けています。同じ薬を長期間飲み続けるのは肝臓に悪いのではないかと家族に言われたのですが、やめた方がいいのでしょうか？」

A. 過剰な心配は不要ですが、定期健診を受けることは大切です

「防風通聖散」は、顕著に肝臓に負担をかける漢方薬ではありませんので、過剰な心配は不要です。しかしながら、「防風通聖散」に限らず、薬を継続的に服用する場合は、必ず定期健診を受けるようにしましょう。

体調の変化がないかはもちろん、その時の自分の体質に合っている薬を選べているか、医師や薬剤師などの専門家にチェックしてもらうことは大切です。

また、便秘気味で服用を続けられているとのことですが、「防風通聖散」は便通促進作用があるものの、純粋な便秘薬ではありません。一般的な便秘薬で下痢や腹痛になりやすい方や、胃もたれしやすい方、また、運動不足で便秘になりやすい方などには合っていないので、肝臓の心配以前に、服用自体を避けるべきです。

ダイエット効果についても、一時的な便通改善やむくみ解消で体重が落ちることはありますが、服用するだけでやせる薬というわけではありません。あくまでも代謝を活性化する作用を持つ漢方薬であり、効果がある薬である以上は、下痢や発汗、動悸、発疹、吐き気などの副作用が出る可能性もあります。

不安な場合は、自己判断をせず、漢方薬局などに相談することをおすすめします。

吉田 健吾プロフィール

大正8年創業の漢方専門薬局を経営する管理薬剤師。城西大学薬学部卒業後に薬剤師免許を取得し、早稲田大学人間科学部医療人類学教室で医療と文化の関係性を学ぶ。一般社団法人・女性とこどもの漢方学術院理事長。漢方薬はもちろん、医療用医薬品、一般用医薬品（OTC薬）の解説から、医療制度や賢い医療機関へのかかり方まで、多くの人の健康に役立つ幅広い情報発信を行っている。
(文:吉田 健吾（薬剤師）)