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『オーメン:ザ・ファースト』に称賛の声が相次ぐ。2024年春の面白くて怖いホラー映画6選

オールアバウト / 2024年4月8日 20時5分

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2024年春は劇場公開されるホラー映画が大充実!『オーメン:ザ・ファースト』をはじめとした面白くて怖いホラー映画を一挙6作品紹介しましょう。(※サムネイル画像出典:(C) 2024 20th Century Studios. All Rights Reserved. )

『変な家』が公開21日間で興行収入30億8000万円を突破する大ヒットとなり、傑作『毒娘』も劇場公開中。そんな2024年春は、海外のホラー映画も充実しています。

ここでは、公開中&これから公開の春のホラー映画を一挙に紹介しましょう。いずれも、映画館で見てこそ、さらなる没入感と恐怖を味わえるはずです。

1:『オーメン:ザ・ファースト』(4月5日より公開中)

映画をあまり見ない人でも名前は知っているであろう、悪魔の子・ダミアンに翻弄(ほんろう)される人々の恐怖を描いた1976年のホラー映画『オーメン』シリーズの最新作です。

今回は「エピソードゼロ」であるうえに、「修道女になるためイタリアの教会にやってきた女性が、問題児扱いされていた少女と出会い、さらに恐ろしい陰謀を知る」という分かりやすい流れから、謎が謎を呼ぶミステリーとしてグイグイ興味を引くため、予備知識なく見ても問題なく楽しめます。
(C) 2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

今回の恐怖の本質にあるのは、教会の陰謀の裏にある「伝統を重んじるあまり人ならざる行為をいとわなくなる」おぞましさ。さらに「望まない妊娠」「出産の強制」も苛烈に描かれており、それを持ってリプロダクティブ・ヘルスライツ(性や子どもを産むことに本人の意思が尊重されること)の重要性を訴えているともいえます。
(C) 2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

原典の『オーメン』の根本的な恐怖はダミアン本人よりも、大人たちが彼を悪魔の子だと認識してこその「盲信的な言動や過剰な崇拝」や「信じていたことがおびやかされる不安」にあると思えました。今回もそれと同様の恐怖をしっかりと示しながらも、安易な予想を裏切るツイストを効かせ、さらにフェミニズムのメッセージも内包するという、前日譚およびリブートとしても、社会批評性を持たせたエンターテインメントとしても見事な作りになっていました。
(C) 2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ホラー映画が厳しい評価になりがちな日本でもSNSで称賛の声が相次ぎ、記事執筆時点で映画.comで3.4点、Filmarksで3.7点となかなかのスコアになっているのも納得です。ただ、PG12指定止まりとはとても思えない、かなりショッキングかつグロテスクなシーンがあるのでご注意を。『オーメン』を見ておくと、ブレナン神父というキャラクターが共通して登場しているほか、オマージュの数々に気づいてさらに楽しめますよ。

2:『インフィニティ・プール』(4月5日より公開中)

高級リゾート地の孤島で、とある罪を犯した主人公が「クローンを身代わりにできる」というルールを知り、その後におぞましい出来事が立て続けに起こる……という物語です。設定としてはSFではありつつも、全編で不条理なホラーとしての雰囲気が充満していて、クライムサスペンスの要素も備えた、先が気になるエンターテインメント性も高い内容になっていました。

最大の特徴はR18+指定当然の容赦のないエログロ描写。人によってはトラウマになってもおかしくない画もたっぷりあるので、ホラー映画に耐性があるという人も、ある程度の覚悟をもって挑んだほうがいいでしょう。もちろん見る人を選びますが、好んでこうした作品を見る人にとっては、刺激的かつ皮肉たっぷりの展開の数々のおかげで、最高の映画になる可能性もあります。

なお、監督のブランドン・クローネンバーグは、『ザ・フライ』や『ヴィデオドローム』などでカルト的な支持を得るデヴィッド・クローネンバーグ監督の息子。「肉体と精神の変容」の恐怖とグロテスクさなどの作風をしっかり父から受け継いでおり、今後もさらなる刺激的な作品が期待できます。

3:『ザ・タワー』(4月12日公開)

集合住宅で目を覚ますと、なぜか窓の外が真っ暗な闇に覆われており、その中に物体を投げ入れると消失、さらに体が触れるとその部分がきれいに切断され、脱出できなくなる……という限定空間を舞台としたフランス製のホラー映画です。

しかし、脱出に至るまでの過程を楽しむタイプの作品ではなく、知り合いや人種ごとの小さなグループを形成することによる対立や軋轢(あつれき)、現実世界にも存在する差別や偏見といった「人間の業と罪」を寓話として描く内容といっていいでしょう。2024年初頭に公開された『コンクリート・ユートピア』も思わせますが、そちらもよりも画が苛烈かつダウナーな雰囲気に満ちています。

正直、せっかくの特異な設定を生かしきれていない、賛否両論を間違いなく呼ぶ幕切れなど、もったいなく思う部分もありますが、この際限のない生き地獄を体感し、相対的に現実の問題を考えることには確かな意義があります。

4:『マンティコア 怪物』(4月19日公開)

「人間の心の闇のタブーに踏み込んだ、衝撃のアンチモラル・ロマンス」と銘打たれたスペイン映画で、客観的にはジャンルはホラーではないでしょう。しかし、筆者にとっては、とてつもなく恐ろしい作品でした。

隣人の少年を火事から救ったことをきっかけにパニック発作を発症した青年が、聡明な女性に惹かれながらも、やがてタイトルさながらの「マンティコア(怪物)」を生み出してしまう……という物語であり、「では、そのマンティコアとは具体的に何か?」を解き明かすミステリーともいえます。

主人公がグロテスクな描写もあるゲームのデザイナーであるというのも重要な設定で、それをもって「現実では許されない犯罪や人ならざる行為であっても、創作物や想像で発散するのであれば問題ない」という提言もされています。しかし、それでも、自分や身近な誰かが少なからず心の奥底に持っている「何か」が表出してしまったとしたら……と考えると、劇中の恐怖は決して他人事ではありません。

会話劇が淡々と静かに展開する作品ですが、だからこそ結末に向けてあらゆる伏線が忍ばせられていると、注意して見ることをおすすめします。また、主人公が「日本オタク」であり、日本人であれば作り手の「偏愛」ぶりにニヤリとできますよ。

5:『キラー・ナマケモノ』(4月26日公開)

発想およびタイトルからすでにB級(またはC級)のモンスターパニックかつ、コメディ成分マシマシのホラー映画で、そういうのが好きな人にとっては超ストライクです、以上!

……で終わってもいいのですが、意外にも「地味な学生生活に焦りを感じていた女子大生が、SNSで(実は殺人鬼の)ナマケモノを利用してインフルエンサーぶる」流れから、現代的な過剰な承認欲求への風刺も込められており、(直接的な残酷描写がほとんどなくG指定だったりもするので)若い人にこそ見てほしい内容でした。

最大の魅力は、ナマケモノがものすごくかわいいこと。CGを使わず、アニマトロニクスのパペットによって動かされていたそうで、今の時代にアナログな技術で映画史上最高にかわいい殺人鬼(断言)を誕生させたことは皮肉抜きで称賛できます。あと、Sloth(ナマケモノ)とSlaughterhouse(大量殺人現場)を合わせた造語による原題「Slotherhouse」が何気に秀逸です。

「動きが遅いナマケモノがどうやって人を襲うねん」という誰もが思うツッコミどころが解消できているようなできていないような微妙さや、とある攻撃に対してのダメージがいい加減に思えたりと、まあまあ雑なところも散見された気もしますが、そういうところもキュートに感じられる心の広い人は存分に楽しめます。

6:『胸騒ぎ』(5月10日公開)

デンマーク・オランダ合作の作品で、休暇でイタリアへ旅行に出かけた家族が、オランダ人の夫妻とその息子と意気投合して彼らの家を訪問するものの、徐々に不気味な言動がエスカレートしていく様に恐怖を感じる……という、いい意味で不穏な空気に満ち満ちた内容です。

やっかいなのが、相手夫婦が一応は「おもてなし」をしているため、それをなかなか無下にはできない、「なんとか体裁を保って、この場は乗り切ろう」という心理が働くこと。ここまで極端ではなくとも、そのバツの悪さは誰もが身に覚えがあるのではないでしょうか。

品のいい表現ではないことを承知で言いますが、本作は後味が悪いという表現をとっくに超えて、「胸糞」という言葉がふさわしい内容です。ゆえに見る人をある程度は選ぶでしょうが、『ファニーゲーム』など、とことん胸糞な気分にさせてくれる映画を好む人には大推薦します。英題の「Speak No Evil」の意味が分かった瞬間も最悪の気分になれますよ(全部褒めています)。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
(文:ヒナタカ)

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